満足度★★★
政治的なマネキン人形論
ポーランドの劇団による3人芝居で、独特の湿っぽく暗くてグロテスクな雰囲気が印象的でした。
原作を読んでいないので、どこからが脚色なのか分かりませんが、マネキン人形/物質/生命といった話題から次第に20世紀前半の戦争や独裁者達についての話になって行き、全体主義による人間のマネキン化という不気味なイメージが喚起されました。
赤や黄色に変色されて奥の壁に映し出された、ブニュエル、チャップリン、エイゼンシュタインの映画が、物質/生命と、政治の2つのテーマを繋ぎ合わせていて興味深かったです。
ガラクタを寄せ集めたかのような美術やアコーディオンで奏でられる寂しげな音楽、全体的に暗い照明がカビ臭さを感じるような古びた雰囲気を醸し出していて、逆に新鮮でした。
「人間を演じるマネキン」を役者が演じる体裁となっていて、人形的なギクシャクとした動きで演じていたのですが、それがユーモラスに見えず、むしろ怖さを増していました。
海外の前衛的な劇団の公演が字幕もありながら1000円で観られて、素晴らしい企画だと思います。字幕のオペレーションがかなり乱れていたのが残念でした。