満足度★★★★
二転三転の醍醐味
最後まで、真相はどうなのか分からないという展開に、わくわくしながら観ていました。
もしかして、途中でわけがわからなくなったお客もいるのだろうなあと思うくらいの「二転三転」です。
私なりに楽しめたのですが、前述のように、「複雑さ」がウリだとしたら、それはあまり感心されるものではないと感じました。もちろん展開の妙として評価されるのでしょうが、客に向けて演じる以上、観ている側が、余計な負荷を抱えるのであれば、私なら、それは「ほしくないな」と思えるのです。
とはいえ、今回の「煩雑さ」は、許容範囲かなと・・・
役者さんの演技は、みな個性豊かな面々で、それぞれの役を見事に演じていたと思い、好感が持てました。友情出演の方々のおかげなのか、また劇団の持っている力なのか、その両方なのか。役と劇団と俳優さんとが対応していないため、なんとも言えないのですが、チームワークも素晴らしかったと思います。
ひとつだけ苦言です。「笑いをとる」ことについてです。
意識的に笑いをとろうとする場面が何カ所もありましたが、正直ひとつも笑うことができませんでした。(私の斜め前の男性は始終声を出して笑っていましたが)
そのほとんどが、声を張り上げてのせりふ。
そして無理矢理、「ここで笑え」といった見え見えのせりふの感があります。
施設の女医の甲高い声、母親(2人とも)の大きなパフォーマンスに合わせた叫びにも似た声。
そんなにしないでも笑えるものです。
「力む」よりも「力を抜いた」笑いのほうが、劇の内容からしてよかったのではないでしょうか。
生と死、あの世とこの世。
幸と不幸。
観る人、それぞれに感じるものがあったと思われる公演、好演でした。