ブラック・サバンナ 公演情報 世田谷シルク「ブラック・サバンナ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    観る側にもなんらかの前提知識/知的レベルを求める作品?
    なんとなく予定が空いてたのでたまには知らない劇団も観てみるか、
    となんとなくCoRichで見かけ、地元近くの劇団とは珍しい、
    説明がおもしろそう、という事で観劇。

    パンフで見た食物連鎖とその枠から外れた人間に対しての話からも
    その辺がメインテーマになるんだろうなあ、とは思ってましたが・・・
    序盤のパタパタ切り替わっていく場面なんかでも
    同様に何らかの意図を持たせていたんだろうと思いますが
    ちょっとペース早すぎてその辺はよく分かりませんでした。

    その上、メインテーマ部分についても色々伏線的な内容が出て来ましたが
    お話としてうまくハマっていない感があり、正直お話に入り込む事もできず、
    ラストまで本当に「客観的に」観劇する事になってしまいました。
    結果、演者さんの真面目な演技、ダンスやその他の演出についても、
    必至で頑張ってるのになあ、とか劇場を有効的に使った演出も
    何度も出るとちょっとウザったい、などマイナスの心象を持ってしまいました。

    評判はかなり良いようなので、多分自分に合わなかった、という事なのかなあ( ´ー`)

    ネタバレBOX

    冒頭、都心の喧騒を交差点の人波や携帯をいじる若者とその足並み、
    しゃべりの早さなどで表現したと思ったら、
    それから急転し川を隔てた所にいる3組の人々、
    それぞれ、エレベータに乗って気づいたらここにいた。。。
    そして、1組は2人で「自治体」活動を始めたり、と
    「これからどう展開するんだろう?」というワクワク感が
    最初はあったのですが・・・


    ・ 椅子を組み合わせて色々なものに見立てる表現方法
    ・ 劇場が板の間なのを有効活用し、足自体で「ダンッ!」と踏みつけたり、
      椅子を叩き置いたりと「音」を活用
      (アフリカ、サバンナ、象の足音的なものをイメージしたのかな?と)
    ・ 1舞台上にそれぞれのシーンを演じる人が全員いながら、
      スポットライトその他でシーンを切り替えるなど小スペースの平舞台を有効活用
    ・ 川下りを台車(のちにテーブル)で表現する
    などのおもしろい演出も多々あり、
    また演技する人たちについてもかなりの練習量をうかがわせる迫真の演技、
    そこにちょいちょいと込められる笑いのネタなど、
    いい面は沢山あったのですが・・・


    食物連鎖している動物達とその枠からはずれ
    ・ 生きていく為には食べ物として平気で動物を殺す
    ・ ペットその他については「かわいそう」という
    そんな人間達の身勝手さ、
    それがある日
    ・ 隕石が落下するという情報が世界中を駆け巡る
    ・ 運で助ける人を選別する為のエレベーター(型ロケット)
    ・ それにより選ばれ助かりサバンナへ放置された、たった数名の人たち
    ・ 隕石落下後、宇宙人(来訪者)が来る事が分かっている
    という設定まではよかったのですが、
    そこから結局どこに話を持って行きたかったのかがよく分かりません。


    人の傲慢さ、理不尽さを語りたかったのでしょうか?
    人間達が自然の最上位から降ろされた事などを利用して
    何かのテーマを語りたかったのでしょうか?
    いろいろと伏線は増えていく中、話がどの方向に向かっているのかが
    最後までよく分かりませんでした。


    以下、設定・伏線として回収された、と思えない部分
    ・ 隕石が落ちてみんな死んだはずなのに野生の動物はなんで生きていた?
    ・ いつの間にかフェンスで囲われている、という事になっていたけど、
      それはいつ分かった?
    ・ 宇宙飛行士(姉)の元になんで保険屋(来訪者)が来た?
    ・ 保険屋(来訪者)から依頼された元コックの無職の存在の意味は?
      (何か意味ありげな発言を繰り返したあげく、特になんの意味もない存在?)
    ⇒まあ、こういう所は強引に押し切っても済む部分ではありますが・・・


    ・ 鳥を食べる為に撃った、撃った後でそれが絶滅危惧種のトキだと分かった、
      それについて「(絶滅危惧種に対して)間違った事をした」
      「(絶滅危惧種だろうとなんだろうと)食べる為なのだから正しい」
      と演者の間で判断が分かれ、
      更に会長が動物に食べられてしまったのと自分達が撃ったトキをかけて
      肉が「食べられない」といった受験生(弟)、
      結局その心情はどう収束した?

      その後いきなり他の仲間まで殺されたのに、受験生(弟)が
      「もう慣れました」と言っていたり(どこでどう慣れた(??)
      これって俗にいうゲーム脳か?)

    ・ 会長が実は「副会長に殺されたのだ!」と言い出した部分は結局どうなったの?

    ・ 宇宙飛行士(姉)と受験生(弟)の関係について、
      メインストーリーの半分使って弟を助けようとする話を描いておきながら
      最後の最後で 姉「弟が嫌いなんです」
      といった理由は?

    ・ 受験生(弟)がいきなり、
      「昔、姉ばかり持てはやされ、自分が生徒会長になった、
      と報告しようとした時も両親と姉がかってきた猫にばかり
      愛情を向けるので、頭にきて猫をペンチで殺してベランダから投げ捨てた」
      これに対するオチは?
      (特にその先で姉が昔受験生(弟)に
      「捨て猫を助けてやれないかわりに、いつか猫を飼おうね」
      という過去ネタにつなげた事の意図は?)

      確かにこういう中高生などの残忍なニュースが最近よく流れてますが、
      この舞台上でこのままじゃ単なる猟奇思考者ですよ、受験生(弟)。

      ※ この辺から完全に自分はドン引きで
        「受験生(弟)の心情なんてどうてもいいから
        とにかくどんなオチがつくのかだけを観よう」、
        とこの舞台自体に気持ちを込めるのを諦めました。

    ・ 神様を名乗る女の子と、棺の中の宇宙飛行士(姉)、神様に届く手紙に対する説明は?

    ・ 訪問者に対する担当者(?なんでしたっけ、名前忘れた)を買ってでた
      女が実は英語もよくわかっていなかった事、
      また担当者を買ってでた理由に対して含みを持たせた発言を
      受験生(弟)に対してした、その真意は?
      (申し訳ない話、女性演者のおなかが序盤より膨らんで見えたので、
      「例えば自分の子供を守る為?」とか勘ぐってみましたが結局不明のままでした)

    ・ 結局、この弟はここまでの話の流れから何を得て来訪者に対して
      「I'm happy」って言ったんでしょう?
    ⇒と、盛り沢山の設定・伏線、メインストーリーまでに対して、
    全然オチがついていないと思います。

    「オチに対して考える為のネタはちゃんと出しました、
    あとはこの劇を見たみなさんで考えて下さい」
    とかって落とし方もありますが、
    この劇はちょっと投げっぱなしすぎると思います・・・

    1つ1つの細かい所からメインストーリーまで
    「筋がまったく通ってない感がある」と思いました。

    そういった粗があまりに目立ったせいもあり
    ・ がんばって演じれば演じるほど、よく分からない話を必至で演じる
      演者の方々に対しての滑稽さ
    ・ 板の間表現についても、最初の惹きつけとしては十分だったのですが、
      その後もよく分からないタイミングで何度も出てくると
      だんだん「うるさい」という印象が・・・


    うわー、いい演出、演技、ダンス、と頑張っている劇団だと思うんですけどね・・・

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    2013/04/13 17:49

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