満足度★★★
動物の命の価値
人間を含めた、動物の命の価値について考えさせるSF的物語を様々な演劇的手法を用いて描いた作品でした。
隕石の落下によって人類のほとんどが死んでしまった中、残された人々が生き延びて行くにあたって、人間/動物、ペット/家畜、絶滅寸前の稀少種/そうでないもの、といった価値判断に関わるエピソードがスピーディーに展開し、シニカルな結末を迎える物語でした。
英語の諺がシーンタイトルに用いられていたり、衣装に共通に取り入れた要素を1人だけ身に付けていなかったりといった要素がラストに向か繋がって行くのが気持良かったです。
スローモーションや高速動作、群舞といった身体表現が多く用いられていて、ダイナミックで楽しかったです。家具的なオブジェと凝った照明効果が組み合わさって各シーンがスムーズに描かれていて、春風舎の空間構造を巧みに用いていたのも印象に残りました。
色々な手法を用いて軽やかな雰囲気でシリアスなテーマを描いていましたが、軽さがそのまま浅さに繋がっているように感じられ、ガチャガチャとした印象を受けました。軽い中にも深い質感が欲しかったです。
切羽詰まった状況を描いた作品なので、大声になる場面が多くなるのは理解出来ますが、快適に台詞を聞き取るには空間の大きさに対して声量が大き過ぎると思いました。ある場面で用いられていた音楽にリズムを合わせた台詞回しは格好悪く感じました。
作品とは直接関係ありませんが、冷房が寒くて集中しにくかったです。