従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン.... 公演情報 Théâtre des Annales「従軍中の若き哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン....」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    興奮しまくり
    知的好奇心と演劇の面白さを最大限に刺激する、極上の劇空間。観劇するまでウィトゲンシュタインの名前も知らなかった僕でも楽しめたので、予備知識なくても安心して観れると思います。個々の正しさを主張しあう事がそのまま物語につながっていく無駄のなさ。でも観客に考えさせる余白をしっかり残す。役者さんの演技も迫真で、舞台上の演出もキレッキレで、息飲む劇空間!!文句なしに大満足っっ!!

    ネタバレBOX

    3月3日の鬼頭先生の講座にも参加しました。作品を作る過程を垣間見れたのも、ウィトゲンシュタイン研究者の先生の話を聞けたのもとても刺激的でした。ウィトゲンシュタインの激動の人生、そしてウィトゲンシュタインが言葉で世界を説明しうると理解を深めていく過程が丁寧に描かれている。神はいるのか、いるとしたらどこにいるのか。ウィトゲンシュタインが理解した哲学がどこまで世界に通用してどこまで通じなかったのか。それと同時に目の前にある戦争という現実に対して、その明らかにした哲学はどこまでが通用して、どこまでが無力なのか。

    物語終盤、光の無い、真っ暗な空間で音と声だけがする不気味さで描かれる戦争風景にゾッとする。怖い。戦争なんかなくなればいいと思う。20世紀。科学の進歩で兵器も進化してたくさんの人が簡単に殺せるようになった。人間には想像力があって、その想像力があれば人が人を殺すことへの無意味さや恐ろしさが容易にわかるはずなのに。

    哨戒塔の上に立ったときに初めて僕の戦争が始まるってどういうことなのか。どうして志願して戦地の最前線に来たんだろう。ウィキペディアでウィトゲンシュタインを調べると、彼の兄弟は結構ウツで自殺しているらしい。彼自身も、発達障害なのかと思うくらい、気性の激しい生涯を送っているように見える。彼にとって、生きることへどういう意味を見出したのだろう。やっぱり生きづらかったのかな、この世界が。だとするとすごくウィトゲンシュタインが身近に感じる。哲学なんて深遠なものは、僕自身のクソみたいな人生には無縁だと思っていたけれど、その思想や考えが人生をより良くしたい、知りたいという衝動から導かれたものなのだとしたら、共感できる。

    そこに人間が生きている、極上の劇空間だと思いました。「趣味は読書。本を読んでると良いなと思う言葉があって。意味はわからないけどグッとくる」みたいな台詞が出てきて、その感動に激しく共感しました。とても良い言葉だ。

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    2013/04/05 23:17

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