満足度★★★
こんなダイナー、あったら怖い
他の皆様と同様、まずモリエールに入って、びっくりしました。
ここ、こんな風になるんだ・・・正直オンボロでチープな感じで、
お笑いライブとかやってる劇場が、見事なセットで、重厚な雰囲気に
なっていました。
僕も前のほうの席でいたら、男は殆どいなかったせいか、
オープニングで絡まれる絡まれる、「芝居終わったら、絶対外で待っててね、
私を買ってね」って、結構ガン見で長々と言われてドキドキしちゃいました。
(実はドラッククイーンだったんだけど 汗 )
とっても濃いキャラだらけで、舞台から溢れる熱気で、むせそうでした。
あっちからもこっちからも金キリ声や罵声がとびかっていて、
「こんなダイナー(酒場ではない、ただの喫茶店)、本当にあったら怖いなぁ」と、偏ったファンタジーなんだと、割り切り見ていました。
40年位前の戯曲らしいので、「RENT」よりも時代設定は古いのでしょうが、
いくらなんでも、あんな狂気と狂気に満ちた人達で溢れかえっていたら、
営業停止になるんじゃないかって様相です。
そんな中で儲け役はパクソヒで、彼だけが清潔感ある綺麗な格好で、
一人ナイーブなキャラを演じてました。
他の方は、キワモノキャラばかりなので、役者はやりたい放題。
あぁいう個性的な役って、思いっきりワル乗りとばかりに、
演じていればいいだけですから(まず、身近にはいないキャラですから、
わからない)楽しいですよねぇ。
ボロいキャラの雰囲気の役作りを、
それぞれの役者がメイクや衣装で、これでもか、と言わんばかりに表現。
かなりやりすぎ、遊びすぎ感満点です。
「汚いけど綺麗」なベガーズよりも本格的です。
群像劇ですから、舞台の上で、4つくらいの絡みが同時進行しています。
メインはパクソヒのようで、彼の話が主軸ですが、
それぞれのキャラが、それぞれのドラマを持っていそう。
でも1回見るだけでは、キョロキョロしている間に話は進み、
全てを追うことは出来ませんでした。
結構過激が台詞や描写が頻繁にあります。R18設定が必要なくらいな、
エグイシーンもありました。
僕の席からは、「氷の微笑」シャロンストーンかのごとく、
3人位の女性?からスカートの中を見せ付けられました。
密度の濃い空間、そして時間なので、上演時間が2時間程度ですが、
ぐったりするほどです。
ストーリーらしいストーリーは、少ししかないので、
これは作品の雰囲気を楽しむだけでいいのでしょう。
鑑賞の充実度としては
「エンジェルスインアメリカ」の足元にも及びませんが、
作品の世界には、どっぷりと浸かることが出来ました。
っと、いづれも他の皆様と同一意見。
見た人が、揃って同じ印象を持つってことは、
まんまと演出家の意図にはまってしまったんでしょう。
この企画は成功ですね。