期待度♪♪♪♪♪
前回が感動の四作品でしたね。
坪田文の教室短編集で,『リボン』は,もっとも格調の高い作品だと思いますね。
確かに,『チェリーボンボン』の出だしで,無難な人生なんて,ごみ箱に捨てて,アイドルを目指します。つまり,これは,女優をめざす少女たちへのエールそのものです。
では,『山に登る』は,何を意味しているのかしら。山という名の「普通の人生」かな。「女優の道」は,みんなが選ぶ道ではないので,たいへんそうだって言う意味かな。あるいは,劇団14歳みんなが登る,山=「女優の道」は,はたして登る意味があるのか,ないのかって,話かもしれませんね。私は,意味あると思いますよ!
『春の日』は,どうして,少女が自殺していった話をせつなくも,みんなで追悼しているのか。もしかして,サエコが,女優をめざしていたら,と考えてみました。本人は,すごく悩んで自殺までいっちゃうんだけど,教室の仲間には,ごく普通のかわいいお友達でしかなく,とにかく生きて一緒に卒業したかった。あんなに歌が上手で,変な芸もできて,そうか,「ミュージカル女優になりたい」なんて言えないし,両親の理解もないし,うつ病になっちゃったかな。悲劇だよね。
『リボン』は,谷賢一演出だし,もっとも教室短編集の核になる作品でしょう。女子校生の間で,お互いが,お互い一番理解したい,されたい,そういう世界があること。そのことを,普通の大人=観客に,「あなたたち自身で,表現し,伝えてみて!」といったものでしょうね。これが,たぶん一番,深い世界で,現代演劇的で,劇団14歳らしい,難しい部分ではないかな,と思いました。