満足度★★★★★
secret track
舞台の上に気高く美しいけものがいた。あるいは天使が。ボリス・ヴィアンは『日々の泡』の序文に、〜この世に必要なのは2つだけ。美しい少女との愛、そして音楽、ニューオーリンズ、デューク・エリントンの。他のものなんて必要ない。なぜなら、醜いのだから〜、と書いている。本作の舞台の上には全部乗っかっていた。もちろん醜いものも含めて。けど、ボリス・ヴィアンも納得でしょ。苦笑するのか、苦虫を噛み潰したようになるのかはわからないけれど。なにしろこれがぼくらの生きる世界だ。しかし、この戯曲たちって70余年前に書かれているわけだが。テネシー・ウィリアムズ、スゴすぎ!もちろん、優れた演出、俳優の存在が人の普遍を生身のものとして実体化したことこそ一番に称賛すべきだけれど。と、次作へ向けてのこじつけ、前奏曲、のつもり。あと、やっぱり2つだけでは足りなくて、世界に必要なもの。ぼくには演劇が必要、間違いなく。そう思わせてくれた、最高に豊潤な作品。