虚言の城の王子 公演情報 空想組曲「虚言の城の王子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    相変わらずの構成力に感心します
    ほさかさんお得意の二重構造も、いつもより、分り易く、その分、テーマがダイレクトに胸を打ちました。

    所々、ベタ過ぎると感じる部分もありましたが、観終えてみれば、やはりあのテイストで、正解だったのではと思えます。

    役者さんの力量に、アンバランスも感じたものの、後半良くなったので、結果オーライ感。

    ネタバレBOX

    最初の、皆瀬と萩野が、図書館で同じ本を手に取るまでのシーン、少しだけ、長過ぎるように感じました。

    あの芝居のバランス計算をすると、あの場面が、どうも配分が悪い印象を受けました。もう少し、早く、二人が出会う方が、もっと後の余韻を強めるように思います。

    いつも、ほさか作品は、ダークファンタジーという謳い文句で表現されますが、私には、まるでダークには感じられない清涼剤的ファンタジーです。

    あまり言葉を出さなかったかなたが、皆瀬の書いた物語を朗読し始めるあたりから、涙が持続して流れました。

    かなたとそなたの兄弟関係が一番切なかったかな?兄のそなたは、共依存症になっていて、弟よりもむしろ異常性が垣間見られるのですね。その兄を、何に絶望しているのかわからないことに絶望していた弟のかなたが、引っ張るように家路に誘う様子が、胸に沁みました。

    王子の演技にはちょっとへこまされた渡辺さんも、貴臣の演技の方は共感して観られました。たぶん、まだ空想組曲風な演劇手法の加減を体得していらっしゃらないのでしょうと思います。資質はある方だと思うので、またどこかで拝見できることを楽しみにしています。

    皆瀬役の加藤さんの終盤の演技、大好きでした。

    彼女に依存して勝手ばかりしていた高遠が、萩野の病室に研修医として姿を現すのは、ちょっとやり過ぎな感じもしましたが、許容範囲ではありました。

    とにかく、二重構造の芝居の、観客への情報提供の順路や配分が、まるで、設計図のような緻密な構成で、この職人芸には、また今回も脱帽させられました。

    何だか、とっても好みのラストシーンでした。

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    2013/03/11 01:44

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