奇妙旅行 公演情報 ワンツーワークス「奇妙旅行」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    古城さんのお仕事ぶりは秀逸かつ重厚
    いつも思うことですが、古城さんの作・演出作品は、隙がなく、常に職人芸を見るような安心感があります。

    初演は観ていませんが、テーマに興味があり、観劇しました。

    重いテーマですが、見せる工夫が随所にあるので、あまり深刻にならずに済み、エンタメ作品としての面白さもしっかり加味された、秀逸な作りの芝居になっていました。

    いつも多様されるムーブが、今回の作品では、特に生きているように感じました。

    アフタートークで、韓国で上演された、リュ・ジュヨンさん演出の同作品との比較もあり、最後まで、興味の尽きない話題で、より充実した余韻のおまけもあり、実りの多い観劇ができました。

    迷いましたが、観て良かった!

    加害者と被害者、決して相容れない関係でも、どこかで、区切りをつけて、前に進む努力だけはしなければと苦悩するのは、これからも人間の定めなのかもしれませんが、個人間のレベルの話ではなく、国同士となると、尚更困難。

    でも、今日のアフタートークのように、両国が、少しでもお互いの国民性に理解と気づきがあれば、いつか気持ちが寄り添うことも夢ではないかもしれないと思ったりしました。

    ネタバレBOX

    娘を殺された両親と、殺した男の両親が、共に、1泊旅行に出かけ、それぞれの思いに決着をつけようと、もがき苦しむ様を、きちんと練り上げた戯曲で、一気に見せる手法が、実に巧みな技でした。

    二組の両親を演じた、重藤さん、山下さん、長田さん、関谷さん。どなたも、秀逸な演技で、少しもわざとらしさがなく、自然と、観ている側も、彼らの心情に寄り添うことができました。

    犯人役を演じた奥本さんは、驚くほど、目力のある方で、彼に睨まれた関谷さんが怯むのに乗じて、客席の私も、一緒に怖さを感じてしまうくらいでした。

    小さなカバンから、犯人を殺そうとする父親の殺人用の武器が次々ト出て来たり、殺された少女のバックから、血が滴り落ちたり、まるで手品のような演出もスリリングで、同時に、視的好奇心も満たして、本当に、見せる工夫がお見事でした。

    登場人物の心情を投影するような、安定しない椅子など、小道具にも気配りが感じられました。

    お互いに、解決のつかない思いを何とか、理性で押しとどめて、明日を生きて行こうと苦慮する親の心情をロデオのムーブで終わらせるラストシーンが、大変心に深く印象づけられました。

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    2013/03/08 03:22

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