若手演出家コンクー2012 最終審査   公演情報 一般社団法人 日本演出者協会「若手演出家コンクー2012 最終審査  」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    【日澤雄介(東京都)の回】観劇
    超満員。椅子席の客までずらされて、おしりのカーブと背もたれのカーブの変なところに座らされて、もう少し長かったら腰の筋を違えるところでした、プンプン。

    さて、この人気は企画全体としての人気なのか、それとも 『熱狂』・『あの記憶の記録』に続く劇団チョコレートケーキの『親愛なる我が総統』だからこそのものなのか、私としては週末に答が出るのでそれまでのお楽しみということにしておきます。

    ネタバレBOX

    ヒトラーが台頭してきた頃の『熱狂』、アウシュビッツ強制収容所の初代所長ヘースの予審の取り調べの様子を描いた本作『親愛なる我が総統』、そして、アウシュビッツで働かされたユダヤ人兄弟が過去の記憶を思い出す『あの記憶の記録』、これら三部作全てを一番最初に観ることのできた者の一人として大変嬉しく思いました。

    ヘースにとってヒトラーは雲の上の存在で、心酔し切っていました。ヒトラーから直接指示を受けたわけではありませんが、ヘースは総統の意志を慮ってガス室を作り大量殺戮を行い、ヒトラーも暗黙の内に了承していました。ヒトラーにも人道的戦争犯罪の責任があるとするこの構図、日本ではどうだったのかと重く突き付けられました。

    大量殺戮は間違っていたと認めたヘースですが、アウシュビッツで働いていたユダヤ人が自分の妻の死体を見ても淡々と仕事する無感情な反応を覚えていたことから、ユダヤ人は劣った民族だと今も考え続けていて、総統と同じくドイツ人優位思想に変わりはありませんでした。それが、極限状態になれば人間は皆そうなることを教えられると彼は混乱してしまいます。

    そう諭すポーランド人たちも、ドイツの支配からソ連による支配へと変化していくことに抗うことなく順応していく様が、同士という言葉が自然に使えるようになることで上手く表現されていました。

    狂気のまま死ぬのも幸せだったのかもしれません。悪魔ではない人間ですから、一応人間としての正しいことを改めて教え込まれ、理解し、それ故苦しみ、そして絞首刑に処せられる…、已むを得ないことですが、正義の裁判も残酷なものです。

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    2013/03/06 09:29

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