虚言の城の王子 公演情報 空想組曲「虚言の城の王子」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    素敵でした。
    吉祥寺シアターの黒の舞台、階段、通路を生かし、白い本(鏡っぽい)が天井から複数吊り下げられているのが、浮かんで見える舞台美術が、シンプルながら、幻想的でとても良かったです。

    ネタバレBOX



    執事、メイドなど、メルヘンを感じさせる衣装がワクワクを掻き立て、ストーリーの決着をどうするのかと引き込み、役者さん方のやる気が気持ちの良い舞台でした。

    途中途中、物語世界の王子やメイド達が入ってくるので、どうしてもファンタジーへの期待を捨てきれないで見てしまうのですが、現実の中でもがくための話です。演技や音楽も意外に落ち着いた雰囲気でした。

    図書館で彼女との出会いを果たした主人公が、事故に遭って目覚めない彼女のために、今の自分達の現状も織り込んだ「おはなし」を書いていく筋で、おはなしの中に、おはなしを書いている自分も登場していて、というループ性もありました。

    配役表がなくて、役名に自信が無いので、「彼女」とか乱用で紛らわしくてすみません。劇中では皆さん名前有ります。
    サイドストーリーの、ダメ男な彼氏に絶望する女子大生のカップルが、よく有りそうで上手で興味深かったのですが、ミチルという捨て子の健気さが、一番ウルッときました。ですます調なのがまた…!

    多少違和感があったことも列挙しておきます。
    ・王子様のベストのサイズが合ってなくて、よくシャツがはみ出てしまうこと。
    ・主人公の彼女が、主人公の言葉に憎まれ口ばかりで、なんだか可愛げがなく、なぜ主人公がそこまで尽くしているのか恋人のみぞ知る、と感じた点。
    ・「彼女の弟」が、主人公に当たるシーンは、普通だったら、家族側は「他人なのにこんなに尽くしてくれて、そんなの悪いよ!申し訳ないよ!」という心理、キレ方になるのでは。
    主人公の尽くしに「余計だ。邪魔だ」は逆じゃないかなと感じた点
    ・主人公がキレて、大学生カップルの刃傷沙汰を続けさせたり、ミチルの飛び降りを手伝った時に、「幸せになりたかったんだろ?ほーら、幸せにしてやるよ!はい、幸せ!」という台詞だったが、結局刃傷も飛び降りも「逃げ」で城と同類なので、違和感。
    「続けさせてやるよ!」とかの方が良かったのでは。
    ・彼方はまぁ自己中というか、今時だと個人的に思ったのですが、状況的には彼方の兄が絶望してもおかしくないなと感じていました。
    彼方が城が見えるけど入れない時点で、先に兄が入ったら彼方ビックリするなぁと一瞬期待しました。でも兄は踏ん張ったようで、エールを送りたい。
    ・「幸せはお話しの中だけ」「ご都合主義は起こらない」と連発するたび、お芝居に浸りかけてた心がちょっと現実に引き戻されて切なくなる(これはテーマ的に仕様がない違和感)

    絶望があるからこそ、幸せがある。幸せがあるから、絶望が来る。ストレートなメッセージは優しかったです。
    客席は、女性ファンが多く、とても静かに見守っている感じでした。
    司書さん(スカート似合う)が、どんどん綺麗に見えてきたのが印象的です。
    とても真っ直ぐなお芝居が、落ち着いて心に届く、トータルバランスの良い公演でした。

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    2013/03/05 23:51

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