満足度★★
ノスタルジックな気配
昭和の面影が色濃く残る歓楽街にある、元ダンスホールだったというレトロな内装の空間の中で、4組の出演者がその雰囲気にあったパフォーマンスを行い、全体として1つの世界観が感じられる公演でした。
水越朋×山田あずさ
ダンスとヴィブラフォンを中心にした打楽器の即興で、キレの良い動きが印象的でした。音と動きを合わせ過ぎているように感じられ、お互いにもっと仕掛けて行っても良いと思いました。
すナマき(砂川佳代子&高橋牧)
ウクレレを弾きながらの歌とポエトリー・リーディングに空間の移動を交えた、密やかなパフォーマンスでした。少しシュールなテクストが独特な雰囲気を醸し出していました。
Rie Tashiro
ヒップホップやダブのトラックに合わせて踊る、ストリートダンスのスタイルの振付ですが、エネルギーの発散だけでなく内向的な深みが感じられたのが魅力的でした。時間が短く、もう少し長くても良いと思いました。
矢嶋久美子&伊佐千明
ゆっくりと変化する静と、激しい動きを繰り返す動の対比が鮮やかなデュオ作品でした。無音の中で踊る終盤は美しかったのですが、公演全体のバランスからすると引っ張り過ぎに思えました。
会場全体に配置された、水を入れた様々な形状のグラスや、統一感のある衣装がノスタルジックな雰囲気を作り上げていました。
全体の方向性は良かったものの、それぞれのパフォーマンスは魅力を出しきれていない感じがあって、もどかしく思いました。