繋がる、東北支援。
男A「東北支援の一環として上演された、喜多方駅の社員休憩室を舞台とするハートフル・コメディです」
男B「東北弁が見事だったね」
男A「キヨスクのオバサンが例えたような、ミステリアスな正体不明の男を包み込む、喜多方の人情味が舞台にほとばしっていました」
男B「大袈裟な手振りと、東北人のイメージは ちょっと違和感 あったけど、人情味は伝わったな」
男A「町おこしも議論されてましたね。グリーン・ツーリズムについてはどう思います?」
男B「東京みたいな都市部や海外の国々から農業体験する人を集めて、喜多方の地域活性化を目指す運動だろ。」
男A「はい。震災後、参加する方は だいぶ減少したようですが…」
男B「基本的にはいいと思うぜ。ただ、メイドのような農家だったら気まずいな…。『いらっしゃいませ~ご主人様~』『お兄ちゃん、キュウリ抜くの手伝って上げよ~か~』」
男A「そんな農家の方が いたとしても、JAの事務局から外されますから…」
男B「まあ、実際にいたら、海外から“メイド農家”目当ての客は来るだろうよ」
男A「たしかに!“ギャル農”なんて新語もあるくらいですから、喜多方に若い女性を集めてね」
男B「えっ?、さっきの例、普通に農家の平均年齢を考えて60過ぎだったんだけど」
男A「メイドお婆さんじゃ、海外から お客さん来る訳ありませんよ!」
男B「えっ?お婆さんでもなく、普通に農家の構成を考えてお爺さんだったんだけど」
男A「うーむ…………。やっぱり喜多方はラーメンに限りますね…」
男B「人参坊やは、喜多方に存在したのかね…?」
男A「交差点に1日中、立ってる小さなお爺さんのことですよね。寓話にしろ、人が疎らな地方だからこそ可能にする話だと思います」
男B「笑い声を聞いても、お爺さんではなかったぞ」
男A「それが物語のキーワードになってるわけですが。本人 が登場せず、喜多方駅に集う人々の“ことば”や“想い”によって人参坊や像が浮かび上がってくる点が良かったです」
男B「寓話に過ぎないかもしれないけどね。主人公に人参坊やファンのキヨスクの女が詰め寄るシーンは、ちょっと引いたかも」
男A「ええ。気持ちは分かるんですが…。大人として理解することもあるだろう、と思いました」
男B「それも、“喜多方らしさ”を描くための装置だったんじゃない?」
男A「なるほど。“”純粋さ”ですね」