満足度★★★★
リアル感、増す
2月に公演した「まどろみ戦士」パート1を、追加公演という形で上演したわけだが、さすがに本公演「まどろみ戦士~最後の旅立ち~」興行中の再演という型破りに、2月のときに比べるとスピード感やテンションは落ちた気がした。
が、本当にそうなのか? 役者が疲れていただけか?
いや、そうでなかったのだろう。よく見ると演出に手が加わっていたようだ。
スピードやテンションは、演技する内部へ向けられ、むしろ内的テンションの圧力は前回より高まっていた。
これによってファンタジックなシーンでも、前回はスピィーディーに展開されたのが今回は若干(全体的には早いので若干)落ち着きを見せていたが、各キャラクターの会話など心情の絡み合いは非常に濃くなっている。
また、リアルにその場にいたらこうだろうなという、無理やりな高揚感を押しつけない潔さがあった。
テンポの良さをはずさず、かつリアルであるというのは、最後は演出のバランス感覚だろうが、今回の成功でこの劇団の可能性はさらに広がったのではないだろうか。
なんにせよこの作品は、主人公の妻が主人公を呼ぶ一言にかぎる。その素直で、無防備で、切ない響きには、普遍の感動がある。