満足度★★★★★
初演より、深みが増した舞台に瞠目
確か初演の頃は、鈴木裕美さんは、まだミュージカル演出には不慣れでいらしたように思うのですが、あれから、ずいぶんたくさんのミュージカル舞台の演出もこなされて、この舞台は、初演の出来栄えを悠に凌ぐ深みのある作品に進化していました。
裕美さんの演出も進化したし、主演の一路さんが、ご自身の人生経験が役の上に反映されて、アンナの人間描写が精密になった気がします。
初演には、一路さんの役作りの上の戸惑いが見えたように感じたのですが、今回は、完全にアンナ自身として、舞台に立っていらしたように思います。
また、葛山さんのレウ゛ィンの存在感が、更に増し、暗くなりがちな作品に、気持良い明るさを加味して、素晴らしく、遠野さんのキティとのコンビが、観ているだけで、観客を幸せな気分にしたと思いました。
ウ゛ロンスキーの伊礼さんは、期待どおりの適役だし、井之上さんのアンナの兄は、舞台を軽妙に導く道化的役どころで、舞台を温め、山路さんのカレーニン、春風さんの噂好きな女、福麻さんの家政婦等、脇も好配役尽くめで、終始、舞台に釘づけになる濃密な運びの作品でした。
子役の清水詩音ちゃんも、女の子なのに、セリョージャという男の子役を、見事に演じて、本当に最近の演劇界は、子役の宝庫だと嬉しくなりました。