アンナ・カレーニナ 公演情報 アンナ・カレーニナ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
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  • 満足度★★★★★

    初演より、深みが増した舞台に瞠目
    確か初演の頃は、鈴木裕美さんは、まだミュージカル演出には不慣れでいらしたように思うのですが、あれから、ずいぶんたくさんのミュージカル舞台の演出もこなされて、この舞台は、初演の出来栄えを悠に凌ぐ深みのある作品に進化していました。

    裕美さんの演出も進化したし、主演の一路さんが、ご自身の人生経験が役の上に反映されて、アンナの人間描写が精密になった気がします。
    初演には、一路さんの役作りの上の戸惑いが見えたように感じたのですが、今回は、完全にアンナ自身として、舞台に立っていらしたように思います。

    また、葛山さんのレウ゛ィンの存在感が、更に増し、暗くなりがちな作品に、気持良い明るさを加味して、素晴らしく、遠野さんのキティとのコンビが、観ているだけで、観客を幸せな気分にしたと思いました。

    ウ゛ロンスキーの伊礼さんは、期待どおりの適役だし、井之上さんのアンナの兄は、舞台を軽妙に導く道化的役どころで、舞台を温め、山路さんのカレーニン、春風さんの噂好きな女、福麻さんの家政婦等、脇も好配役尽くめで、終始、舞台に釘づけになる濃密な運びの作品でした。

    子役の清水詩音ちゃんも、女の子なのに、セリョージャという男の子役を、見事に演じて、本当に最近の演劇界は、子役の宝庫だと嬉しくなりました。

    ネタバレBOX

    一路さんのアンナが、初演より、弾けていたことにビックリしました。

    原作は、恥ずかしながら、読んだことはないのですが、最近の日本の離婚形態などにも、相通じるものがあって、これは、脚本の小池さんと演出の鈴木さんが、卑近なストーリーとして、練り直した結果なのかなと思ったりもしました。

    主役のアンナよりも、夫のカレーニンの心情の方に、共感する部分が多く、素直に妻に気持ちを表出できない、不器用な男性の側面に、涙が誘われたりしました。

    ですから、絶望して、鉄道自殺をするアンナよりも、後に残された、ウ゛ロンスキーやカレーニンの方に、感情移入して、気の毒な気持ちになってしまいました。エンディングのシーンが、余韻があって、初演より素敵な終わり方だったように感じました。

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