IN HER TWENTIES 2013 公演情報 TOKYO PLAYERS COLLECTION「IN HER TWENTIES 2013」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    息づく記憶
    初演を2回観ていて、
    その中でも、作品からやってくるものは、
    微妙に異なっていて。
    さらに今回は一部キャストも変わり、
    幾つかのニュアンスの重ね方も生まれて。

    従前の秀逸を損なうことなく、
    それよりも、さらに、ほんの少し色が変わり解像度が増した感じ。

    でも、その、「ほんのすこし」から垣間見える
    さらなる想いの実存感がありました。

    作品に描かれた
    一人の女性の20代の想いの変遷と
    めぐる記憶によみがえる質感の揺らぎのそれぞれに
    このキャストでの肌触りがあって、
    初演時と同様に、新たに掴まれてしまいました。

    ネタバレBOX

    舞台や物語の構造は初演のときと同じ、
    ただ、私の如く再見で観る側もそうなのですが、
    多分作り手側にも、演じて側にも、
    その世界の構造から映し出されるものへの理解が
    初演のときより一歩深いところにあって。

    作品としての空気の組み立てやつながりの仕掛けがよりしなやかになり、
    その分、役者たちも、そのロールの1年毎の時間を、
    より個性を深くして
    受け渡しをしていたような気がします。

    その結果、其々の年代に訪れたものや想いが、
    初演よりもう半歩ずつクリアになり、
    全体として、描かれる女性の記憶の重なりや思索が
    こころもちフォーカスを深くして覚醒した感じがして・・・。

    小さなエピソードたちが
    心に浮かぶ如く様々な刹那の肌触りを
    舞台の中央に重ねていきます。
    異なる会話に同じ言葉を挟みこんで
    時間とニュアンスの記憶が幾重にも広がっていく。
    良き時も、悪しき時も、
    追いかけていたものも、諦めたものも、
    半円に置かれた役者達が紡ぎだすロールが抱く記憶と、
    時には未来への想像に編みあがり、
    その時間に流れが生まれ、
    20歳の今と、30歳に至る今が
    10年を内包してすっと束ねられる。

    ひとつずつの1年に、
    役者達が表層的に醸すものだけではなく、
    次第に現れてくるものや、
    時の流れとは異なる想いの流れがあって。
    新しいキャストが演じる時間には、
    従前のキャストとは異なる肌触りがあり、
    再登板組も異なるロールを紡ぐことで、
    垣間見えるものが、
    初演の彼女たちとは、また一味異なるテイストに染められていて。

    初演と同じ仕掛けの舞台に、
    ほぼ同じエピソードが組み上げられて、
    でも、観る側に訪れる女性の色は、
    初演の女性のものとは、ほんの少し異なって感じられる。
    それが、舞台に編みあがるものに、
    さらなるビビッドさやライブ感を与えて。

    舞台に編みあがっていく時間に引き込まれ、
    舞台を編み上げていく役者達の一人ずつの時間に
    心を揺らされつつ・・・。
    でも、2011年の女性とは異なる、
    2013年の女性のはじめてみる素顔に
    新たに心を惹かれたことでした。

    この作品、時間に染まらないフォーマットと
    一期一会で描かれる女性の素顔が、
    普遍を持ってその都度新しい。

    よく見知った作品であるはずなのに、
    残された感覚が、とても新鮮に感じられたことでした。

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    2013/02/13 16:59

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