strange 公演情報 ニットキャップシアター「strange」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    とんでもないものをみた
     見事に僕を絶望の淵に叩き込んでくださいましてどうもありがとう。

    ネタバレBOX

     垂直、水平、という二つの方向性に広がっている欠片を、それこそ糸でつないでいくように、半ば強引に物語として救いあげようという試み。その強引さに悪意さえ感じる。

     そうだ、ストーリー的な頑丈で説明的なつじつま合わせなんか、本当はどうでもよくて、僕たちはいつも、日常的な断片や、過去の記憶や、妄想や、そういうなんやかんやのガラクタを、強引に意図でつなぎ合わせて、自分の都合のいいような物語にして、なにかを理解したような気になっている。それでいいじゃないか。という開き直り。

     第1部、垂直移動編は、所謂ところの「ストーリー」編。「物語」パートだ。だけどここで描かれるのはそれこそ「糸」すなわち「意図」的な部分だけで、きわめて恣意的で、記号的な物語だけがそこにある状態が続く。たんに言葉だけがそこにある感じ。

     第2部水平移動編は、現実パート、といった趣。たぶんちょっと違う。実際に作者が体験したと思われる失踪事件等をもとに、物語と交錯しながら、虚と実の間を行ったり来たりする。これだ、この感覚だ、これこそが僕が求めるものなんだ。何一つ確からしいものはない中で確かに、ぎらぎらした本物が、そこにあるように感じた。何かはわからないけれど。

     第3部、直角交差編。前2編に比べれば、やや凡庸で、型にはまった印象。特に、「自分の中のたくさんの自分」が登場する脳内世界、みたいな描き方は、やや陳腐かなあと思わないでもなかった。だが、それを差し引いてもよかった。年を経ても、中学生みたいな鋭くとがった気持ち悪い自意識は、持ち続けたいと思った。最後主人公が壊れたまま終わるかと思ったけど、救いなのか救いじゃないのかよくわからないような、不明確な救いがあって、結局主人公は物語の世界にとらわれて、ちゃんと生きている。現実という物語で主人公を縫いとったのは、奥さんの存在だったのか、どうか。はたして、といったところ。

     仮面をつけた登場人物が4人登場する。仮面の使い方もよいなあと感じた。演じるべきはキャラクターではなくロールなのだ。

     中でも、失踪した男Sの描かれ方が気に入りました。まるでカミュの異邦人のよう。「Strange」というタイトルもそこを意識したのかな、とか深読みしてしまうくらいです。違ったらごめんなさい。

     たいへん刺激を受けました。負けないように頑張ります。

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    2013/02/02 23:20

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