満足度★★★
静かで優しいファンタジーの習作(?)
大人が優しく作った親子のためのファンタジー。
演出、ミュージカル、ダンス、など各方面で座長を務めるような
プロの人たちが、改めて個人として集まって、レベルの高い
エチュードを繰り返してできあがったような印象です。
貧しくても仲良く暮らしていた夫婦の家から、音と夫婦の人形の
片方だけ盗まれてしまう冒頭は、実に切なくて、哀しくて。
なくした何かを取り戻そうとする2人が別々に旅をして
少しずつ元の世界を取り戻していく様子を、静かにゆっくりと
描いている、心やさしい物語でした。
そして、衣装がすてきですね。
また、劇場入り口にも小屋の様な装飾があって、童話の様な本作に
ぴったり、気が効いてるな。と思ったら、それは、
小劇場から中劇場へのエスカレーターの工事中の囲いでした。^^;)
長塚さんの作品は(特に渡英前の)「暗く重く抽象的観念的で難解」
という印象でしたが、帰国してからの最近の作品は、
肩の力が抜けて優しく明るい穏やかな要素「も」加わったように感じます。