満足度★★★★
すばらしく好対照!
開場から開演までの間、役者二人が地味な衣装をまとってダークな色合いの床の上をひたすらゆっくりと歩いて行く。BGMはジムノペディ。一気に何十年か前に見た太田作品の中に引き戻されるような気分になった。
ところが実際に芝居が始まったとたん、床の上はサイケデリックな布で覆われ、役者はカラフルに装いなおして「更地」に向けての旅が始まる。そこに在った場所とこれから向かう場所、そこに生まれる高揚感と不安感、それらをみごとに祝うような芝居だった。
さすが愛弟子だけのことはある。しっかりと師への尊敬をその形式に反映させ、同時にそこから解放された形での自分の方法論をくっきりと鮮やかにまとめてみせた。お見事、である。