祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】 公演情報 Bunkamura「祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹~【KERAバージョン】 」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    西洋文学のミクスチャー
    ケラさんにしてはかなり笑いを抑えたシリアスな雰囲気の作品で、重厚な物語と迫真の演技に引き込まれて、4時間強というかなり長い上演時間を全然感じさせず、見応えがありました。

    ある街を暴力的に支配する男とその3人の娘を中心にした様々な人間関係から人間のダークな面が浮かび上がる重厚な物語で、必死に生きようとするが為に心が壊れていく人々の姿が痛々しく切なかったです。
    宣伝文にもあるように、人間存在を描くロシア文学と超常現象が普通に起こるラテンアメリカ文学をミックスさたような雰囲気でした。さらにギリシャ悲劇の展開と様式が重要な位置を占めていて、西洋文学の様々な要素を取り込んだ、時代と国を超越したファンタスティックな世界観が感じられました。

    個人的に映画作品の中で最高傑作だと思っている『アンダーグラウンド』(エミール・クストリッツァ監督)を思わせる設定や場面が沢山散りばめられていて、それらがパクりではなくオマージュとして感じられて楽しかったです。

    パスカルズによるノスタルジックな音楽の生演奏や、動いている物へのプロジェクションマッピングを駆使した映像、頻繁な場面転換に対応した舞台美術等、スタッフワークも素晴らしく、物語を引き立てていました。

    総合的にクオリティーの高い作品でしたが、個人的にはもう少し観客を突き放したような尖った表現が見たかったです。
    この物語を蜷川さんがどのように演出するのか楽しみです。

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    2012/12/20 08:09

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