週末たち(満員御礼で終幕。ありがとうございました。御感想お待ちしています!) 公演情報 MU「週末たち(満員御礼で終幕。ありがとうございました。御感想お待ちしています!)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    センスよくまとめられた短編集
    本公演とは別に、バーやカフェで上演するbootlegシリーズの第3弾として、気軽に演劇を楽しむというコンセプトに一番マッチした作品ではないだろうか。

    ネタバレBOX

    本公演とは別に、バーやカフェで上演するbootlegシリーズの第3弾。

    気軽に演劇を楽しむというコンセプトに一番マッチした、短編集。

    脚本も他人の作品を交えた、5本の短編からなる。
    ハセガワアユムさんという人は、センスが良く器用だ、ということは衆目の一致するところだろう。

    果たして今回の公演でもそれが披露されている。
    他人の作品を集めながらも、脚色を加えて、MU色に染めながら、さらに1本のつながりを持たせて、興味を先に進ませるテクニックを見せる。

    もともとはそれぞれ関係のない短編たちを、「豆」つながりでうまくつないだと感心してしまう。オープニングの豆工場がハリケーンで吹き飛ばされたことで、「豆が降る」ことになるというのだから。天気予報の「クロワッサンのような月」ってのも、枝豆のようにサヤに入った豆だったのだろうし(笑)。
    しかも、「豆」が意外と重要なエッセンスとなっていて、初めからその作品にそんなシーンや台詞があったように、すんなりと思えてしまう。

    『フリマ』
    このオープニングがあっさりしているのにうまい。「懐かしい」の台詞がいい。こういう細かいところの気の利かせ方がハセガワアユムさんらしい。

    『ジャンクション』
    もとは女性が主人公だったのを男性にしたと言う。そうとは思えないぐらいにしっくりしている。今、アカペラっていう設定。バンド名(笑)。ネットワークビジネス(笑)。普通名詞なのに面白い。

    『暗い日曜日』
    これは、当たり前だけど、一番MUっぽい。なんか狂っているというか、ズレている感じが笑えるけど恐いし、しっかりと軸を通してある感じ。OL演じた渡辺まのさんがもの凄くいい。何でも屋の斉藤マッチュさんのちゃらい感じも。

    『まめまめしい女』
    そういう展開だろうな、と先は読めるものの、役者の絡み方が面白いから楽しめる。

    『こちらN公演管理人事務所爆発前』
    管理人を演じる友松栄さんがいい。この人が他の短編でもいい仕事をしていた。ちょっとした飛び道具?(失礼・笑)

    どれも軽い笑いと、気の利いた台詞があり、いい台詞はうまくクローズアップしてくる。そして、MUっぽい余韻をきれいに残す。他人の作であっても。
    短編〜中編の演劇は、MUのお得意とも言えるジャンルであるということもある。

    ただ、見終わった後に、「面白かった」以外は、すっきりと何も残らない。
    「それでいい」のかもしれないし、それがbootlegシリーズの楽しみ方なのかもしれない。

    しかし、MU好きとしては、やっぱりもの足りない。確かに面白いとは思うのだけど、もっとメッセージと言うと別モノになってしまうけど、「MUだなぁ」という爪痕を残してほしいのだ。
    また、このシリーズのコンセプトとして、「お酒などを片手にリラックスしながら観劇」ということがあるのだが、人気が出てくると、観客席はギュウギュウで、リラックスできる環境にはなくなってしまう。お酒のために机を置いてあるのだけど、逆にそれが邪魔になってしまうこともある。それはこのシリーズの今後の課題ではないだろうか。客数に合わせてレイアウトを変えるとか、そんなことか。

    本公演とは違うとはっきりと言っているのだけど、やはり、MUには別のモノを期待してしまう。

    もちろん意図があってこの公演を続けているとは思う。勝手に考えてみると、1つには、「劇団化」したことにより、劇団員間のグループ感の確認とか、役者の腕試しというか、トレーニング、どこまでできるかの実験の場ではないかと思う。さらに、年1回とか2回公演で劇団のことが忘れられてしまうことがないように、毎月公演を打つことで、チラシを目にし、噂を聞き、会場に訪れる人を確実に増やして、本公演への下地にしていくためではないかと。

    であれば、ここでそろそろ「本公演」を打って欲しいところだ。それも、ル・デコやカフェやバーなどといった、サロン的な雰囲気ではなく、観客と舞台が対峙するような、いわゆる「劇場」で。

    ハセガワアユムさんが、単なるセンスが良くて器用な人に留まらないように、変な器用貧乏なヒトに陥らないようためにも、是非本公演をお願いしたい。

    それが今回と同様の短編集であったとしても、他人の作であったとしても、「MUらしい演劇」が見られるのではないかと思う。

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    2012/12/07 05:22

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