傭兵ども!砂漠を走れ! -サバンナ&オアシス- 公演情報 劇団6番シード「傭兵ども!砂漠を走れ! -サバンナ&オアシス-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    冗長さは感じないけれど
    サバンナ編は見ることができずオアシス編だけなんとか。

    ぐぐっと惹かれる瞬間もあり。
    ひとつずつのシーンやパーツには
    作りこみを感じつつ、
    疾走間も確かにありつつ。

    でも、物語に、いろいろに
    膨らみきれない部分を感じたりもしました。

    ネタバレBOX

    オアシス編、女性だけの戦闘部隊・・・。
    発想は面白いと思うし、そのアイデアをある程度生かす力も
    舞台にはあって。
    また、次第に視野がひらけ、何人かの兵士については
    その背景に抱えるものも浮かんでくる。
    戦闘シーンのテンションや、兵士たちのタフさ、
    銃器をもっての男勝りの身のこなし、
    さらにはシーンごとのミザンスの作り方や、
    役者たちの感情の表し方などにも、
    観る側を凌駕するだけの
    力量を感じる。

    ただ、観る側として、
    シーンごとの色を受け取ることはできても、
    あるいは物語の概要を掴むこともできても、
    舞台が描こうとするそれ以上の流れや広がりを
    十分に感じることができないのです。

    新兵の専門分野や剣玉の材質など、
    伏線もいろいろに回収されてはいるし、
    少女との出会いから、その背景にあるものなども、
    描きこまれてはいるのですが、
    それらがエピソードの時系列での繋がりの範疇から
    さらに広がっていかない。
    ひとつのシーンから発展して次の展開に移るなかでの、
    描きこみに、なにかが欠けていているような気がする。
    いくつものシーンが魅力的ではあっても、
    そこから彼女たちの世界に巻き込まれるような感じが
    いまひとつやってこない。

    舞台上の世界にのめりこめない要因のひとつには
    登場人物達が場面ごとに対峙しているリスクの程度や方向が
    よく見えないこともあって・・・。
    明確になっていれば舞台の密度は
    場ごとに安定して物語がもっとクリアになったかも。
    兵糧責めにあって、
    一袋の柿のたねを分け合う状況であったのが、
    他の状況が変わらないのにも関わらず、
    食料の調達(狩り)が始まったのにはかなり面喰らいましたが 、
    それ以外の部分でも、
    ひとつの場面というか局面が踏み出し、
    次の場面が展開する必然が
    かなり削ぎ落とされてしまっている感じもして。

    まあ、シーンの個々からやって来るもの自体は
    役者達ががっつり作りこんでいたし、
    戦闘シーンなどの美術やSEも秀逸で
    飽きることはなかったのですが、
    でも、一人の命を思う気持ちや、
    ラストシーンの実存感がより伝わってくるためには、
    さらなる、戯曲としての細心さや緻密さが
    必要などではと感じました。

    ちなみに、もし、この作品がコメディであるというのなら、
    加えて、さらにもう一段の
    シーンのしたたかな繋がりが必要ではとも思ったり・・・。

    役者や美術などは悪くなかったとはいえ、
    舞台としては、アイデアが、
    さらに進化する余白もたくさんあるようにも思えました。

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    2012/12/04 15:45

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