ぱれえど 公演情報 浮世企画「ぱれえど」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    人生は、哀しい「ぱれえど」
    浮世企画は旗揚げから見ているが、回を追うごとに作品が面白くなっていってると思う。

    最初のあぶくが「え?」と思うイマイチ度が強かっただけに(笑)成長ぶりが著しい。

    今城文恵の作品は都市の片隅で生きるごく普通の人々がそれぞれにいろんな事情を抱えていて、表面と裏面のギャップ、その隙間に手を突っ込んで見せていく想像力がなかなかだ。

    作家としてのスタイルが徐々に出来つつある。
    前回の「沼辺者」に続き、場末感漂う地域、今回はどぶ臭さが漂う小さな町の話。

    初冬の新宿、スペース雑遊という劇場にも適した内容の芝居。

    ボヘミアンを思わせる音楽がドラマに合っていた。

    冒頭の喫煙シーン、結構煙が出るのでタバコの匂いだけで咳が止まらなくなる私は最前列にいてドキっとしたが、咳き込まずホッとした。

    この劇団、以前は開演前に喫煙場面の告知注意があったが、今回はなかった。できればあったほうがありがたかった。


    ネタバレBOX

    前回同様、異次元の生物が出てきて、今回は「地獄人」。とても悪いことをして罪悪感が強い人にだけ姿が見えるという設定。

    鈴木アメリがこの謎の女を可愛らしく、すっとんきょうに演じている。

    芝居が進行するにつれ、登場人物の「事情」が明らかになっていき、新しい「事件」が起きてサスペンスとして面白さも感じる。

    キャラクターが良く描き分けられて、役者も揃っている。

    大事故を起こした会社の元社員(鈴木歩己)とバーテン(川本裕之)、中年男性2人が話の中心だが、

    若い俳優ではこういう役柄は無理であり、適役。

    欲を言えば、この二人の結びつきが淡々としているので、人生の哀歓までにはいたらず、物足りなさが残る。


    男たちは挫折したり、破滅していくが、女たちは傷を抱えながらも自分なりの「ケリ」をつけて生きていく。

    バブルの時代によく見かけた軽薄な遊び人のサラリーマンを演じる立浪伸一が印象に残った。

    俳優寄りに観ると、登場人物の中では、岩田裕耳の精神科の医師が一番演じにくかったと思う。

    彼が得意とする癖のある役ではなく、一見ごく普通の常識人で、薬の横流しはしてるが格別善人でも悪人でもなく、途中で豹変する強い二面性があるわけでもない。しかし、最後に、コントロールされて優等生で育った彼の諦観みたいなものが出て面白い。

    エンディングの「狂騒」が「ぱれえど」というタイトルを表現していたと思う。


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    2012/11/28 06:22

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