満足度★★★
水面は震わず。
おそらく作家・赤澤ムックの本髄はこちらにあるんだろう。
それは、暗い情熱で、それこそ暗い水のほとりが似合うような空気だ。
ただ、水面は実に穏やかなもので、人間が何をやろうと関係ないようだ。
胸に迫るものが無かったということなのか……いや、そんなはずは。
でも、水面は震わないままだ。
赤澤ムックは、ロジカルに攻めるタイプだと思っていたのだが、
どうにも今回は説得力にかける部分があり、妙に引っかかってしまう。
今まで、畳み掛けの上手さが光っていただけに、そこが解せないのだ。
たぶん、アングラ寄りを意識したのだろう……と好意的に解釈したい。
久々のザムザでの暗躍にかつてないほどの期待を込める。