からくりサーカス~サーカス編~ 公演情報 カプセル兵団「からくりサーカス~サーカス編~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    スピンオフもいける
    先日LINX’SでシアターOMの「うしおととら」を観た後なので
    この原作者藤田和日郎さんのテイストが少しわかってきたところ。
    ”冒険活劇”という言葉がぴったりのアクション満載、スピーディーな展開を楽しめた。
    前説で「3時間半を予定しております」と言った途端、客席から笑いが起こった。
    「え~、マジかよー、もう笑うしかないべ」みたいな。
    パイプ椅子にエアクッションがあれば、3時間半でも結構快適だと知った夜。

    ネタバレBOX

    手前へ花道が伸びる舞台を3方から客席が囲んでいる。
    あらすじを追ってもすぐには把握できないほど壮大な物語なのでここには書かないが
    時間も空間も壮大であること、人形を操って闘うこと、
    それに単純な勧善懲悪でなく、悪者にも逡巡があり改心したりする“心の揺れ”が
    物語の特徴と言えるだろうか。
    “人形を操って闘う”ということがきちんと見えて来ると、
    操る動きと人形の動きがリンクしていて流れるような美しい動作に目を奪われる。

    とにかく出ハケが高校野球みたいに全力疾走でスピーディーなところに感動した。
    3時間半の間、数え切れないほどあった出ハケに迷いやミスが皆無だったことや
    効果音・照明のタイミングも完璧であったことから
    非常に訓練された集団という印象を受けた。
    短いエピソードを際限なく積み重ねるように見えるのは
    全43巻という原作の長さと、週刊で毎週ひとつの山場を迎えるという事情もある。
    座長の吉久直志さんが当日パンフで脚本構成の苦労を語っているが、
    出ハケがメリハリのある区切りになって、緊張感も集中力も心地よいリズムで持続できる。

    時々役者が演じながら今起こっていることを解説する。
    「鋭い剣が正面から飛んで来てグサ~!」みたいなことを叫ぶのでめっちゃ可笑しい。
    このアナログな表現が漫画の面白さをうまく再現していると思う。

    はっきりしたキャラクターの振り切れた演技が秀逸。
    ハーレクインを演じた西沢智治さんの台詞とアクションなど素晴らしかった。
    中途半端だったらコントで終わってしまいそうな役を
    表現力豊かな台詞とキレの良いアクションで魅力的な悪役に魅せた。

    女優陣が皆素晴らしいプロポーションでびっくりした。
    アンジェリーナ役の永峰あやさん、しろがね役の森澤碧音さんは
    その衣装も素敵だし、露出しているボディも素晴らしい!
    またこんなに魅力的なアンサンブルを私は初めて観た気がする。
    ダンスの繊細さと力強さがとても素敵だった。

    欲を言えば、原作のコアなファンならいざ知らず
    普通の演劇ファンにはもう少し解説が欲しいところ。
    漫画は戻ってもう一度確認できるが、舞台ではそれが出来ない。
    時々大事なポイントを復習する時間が必要ではないか。
    当日パンフの「登場人物相関図」を見てもよくわからないし。

    スピード重視の流れの中でも、ストーリーの根幹に関わる台詞は
    立ち止まってきちんと伝わるように言って欲しい。
    誰かに台詞で言わせるとか、ナレーションを入れるとか工夫したらダメかしら。
    原作の雰囲気をそこなうとか、マイナス面もあるかもしれないが。
    もう少し整理した相関図や、前回までのあらすじ、登場人物プロフィールなど
    補足資料によって開演前や休憩時間に情報を得られたらもっと楽しいと思う。

    スピンオフが作れそうなほど魅力的なキャラクターがそろっているのだから
    何部かに分けてもそれぞれ充実した舞台になると思うがどうだろうか。
    それにしても、先入観を持たずにいろんなものを観てみるものだなあとつくづく思ったのであった。

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    2012/11/19 22:11

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