僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい 公演情報 MacGuffins「僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    絶妙のタイトル
    オムニバス形式で5話、1と5が父親殺しというシリアスなテーマを扱い
    真ん中3話がおバカなコメディなのだが
    “ひとつのテーマが緩くつながりながら広がっていく”という
    オムニバスの良さが存分に発揮されていて大変面白かった。
    絶妙なタイトルと合わせて、これは「コミュニケーション」の明暗を描く力作だと思う。
    Aバージョン観賞。

    ネタバレBOX

    「僕から見れば僕が正しい」
    母親に暴力をふるう父親を刺殺してしまった高校生(黒岩拓朗)が逮捕される。
    彼は直前に同級生の少女(金魚)と「今夜11時に親を殺す」という約束をしていた。
    父の死の間際に、その暴力の理由が母親にあったことを知り
    少年は自分は何も分かっていなかったことを思い知らされる。
    そしてその日、殺人事件はひとつしか起こらなかった・・・。

    「会議は踊る」
    冒頭のショッキングなストーリーから一転、
    新商品「ヒトの匂いを消す消臭剤」のネーミングに頭を悩ます会議の席。
    様々なアイデアが飛び出す中、上司の秘密が暴露されたりして
    会議は踊り続けて何にも決まらな~い!
    社員がひねり出すネーミングが爆笑もの。

    「帰宅部全国大会出場」
    小宮山(横田純)が野球部と思って入部したのは実は「帰宅部」だった。
    「はじめてのおつかい」のように親から依頼されたおつかいを
    ビデオに撮ってテレビに投稿するという(これが全国大会を意味する)帰宅部。
    今日は全員でテーマパーク、ロマンチックランドへおつかいに行くことに。
    さて誰が一番ロマンチック・・・?

    「コミュニケーション記号体系」
    弟に借金を返すため、その弟になり済まして学校に就職、そこで
    “ハナデルマン共和国”の“ハナデルマン語”を教えることになってしまう兄の話。
    激しい身体表現(ほとんど踊り)、ターンが多いほど好意的であることを表わす
    ハナデルマン語をめぐって職場の嘘と真が入り乱れる中、男は真の自分を見出していく。
    何と言っても兄(水越健)とハナデルマン共和国の親善大使(渡慶次信幸)の
    ハナデルマン語、それにタイミングよく絡む通訳(横田純)が抜群に面白い。
    ノンバーバル言語の極みとも言うべき動きとスピードが素晴らしい。
    妄想助平親父の教頭(小林龍二)の俗物ぶりも、無さそうで有りそうで笑わせる。

    「君から見れば君が正しい」
    冒頭の父親殺しの少年と、約束を破った少女が街で再会する。
    なぜ約束を破ったのか、それを語る少女。
    淡々とそれを聞く少年は、「誰かと関わる時は終わる時のことを考えてしまう」と言う。
    「間違ってもいいから前を向いて進むのが人生」と語る少女。

    全体を貫くのは“コミュニケーションの様々なかたち”だ。
    饒舌なだけがコミュ二ケーションではない。
    悲惨な事件の陰にはコミュニケーションの欠落があったとはいえ、
    それは努力を怠ったせいではなかった。
    あの父親にとってはそれがたったひとつの発信手段だったのだ。
    だがその結果は殺人事件だった。
    「君から見れば君が正しい」で、少女は懸命に語りかけるが
    ここは言葉を尽くしても一方通行では虚しいだけだということを晒している。
    片方の自己満足だけでは、コミュニケーションとして成立しない事を痛切に訴えて来る。

    激しい動きの中で早口の台詞の応酬が多いが、よく訓練されていることに感心した。
    一人が何役もこなし、切り替えも鮮やか。
    強靭な持久力で充実したストーリーを展開している。
    映像の使い方も洗練されていて、身体能力と共に劇団の個性と言える。

    ちょっと残念だったのは、ラストのまとめ方に無理が感じられたこと。
    彼女が語れば語るほど、約束を破った言い訳に聞こえて
    約束破っておいてそれは無いだろう・・・と思ってしまう。
    むしろ少年の胸の内を知りたかった。

    オムニバスという形式のメリットを最大限に活かしたテンポの良い展開、
    明と暗両方の見せ方など工夫があってとても良かった。
    それにしてもこのタイトル、コミュニケーションと言うものを
    実に言い得て妙、としか言いようがない。
    世の中全て「僕から見れば僕が正しい、君から見れば君が正しい」でしょう。
    これをつけた時点でもう、大成功してる。

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    2012/11/11 01:09

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