『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!! 公演情報 劇団チョコレートケーキ「『熱狂』・『あの記憶の記録』3月に完全再演致します!!詳しくは劇団ページをcheck!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    『あの記憶の記録』観劇
    意識的、無意識的に拘わらず、記憶も記録も主観的なもの、そしてそれによって精神が保たれている面もあるのだと痛感しました。

    ネタバレBOX

    1970年、今は家族を持ちイスラエルに住む兄弟のうちの弟がアウシュビッツ強制収容所で特殊任務をさせられていた当時の経験を告白する話、そして…。

    兄は何も知らないと周りや自分自身に言い聞かせ記憶を消そうとしているのに対し、弟は息子の歴史教師の働きかけもあって自分の記憶を正確に伝えることを決意します。

    残酷な内容には心が痛みますが、ここまでならナチスの悪行や、それを手伝わされた同胞の悲しみを告発する朗読劇のような感じです。

    しかし、次の解放後の件では、ユダヤ人同士で行われた非人道的な行為が語られ、過酷な条件下では綺麗事では済まされない現実にガツンとやられました。

    更にそれだけではなく、兄弟で話し合うと驚愕の新事実が浮かび上がりました。兄の記憶によってドイツ兵看守の中にも心優しい者がいて、開放時に自分たちが生き残れたのもその兵士のお陰だということが分かりましたが、弟の記憶ではその部分が抜け落ちていました。その兵士を殺したことを正当化するためにそいつは悪人だったと記憶が書き換えられていたようです。でも本当は自分でも漠然と気が付いていて、そのために兵士の姿が見える妄想に悩まされ続けていたのでした。

    人間はどこかで自分に都合よく解釈するものです。それが悪いという訳では決してなく、そうすることでしか精神を保つ術がないということでもあるのです。

    息子に言い聞かせた恨みの連鎖を断ち切らねばならないという趣旨の言葉も大切なテーマでした。

    そしてもう一つ、殺された兵士こそ『熱狂』でヒトラーの雑用係をしていて、ラストでナチス親衛隊へ異動した青年リヒャルト・ビルクナーでした。彼の存在を通じて二つの話は繋がりました。さすがです!彼の運命は正にナチスの興亡そのものでした。恐れ入りました!!

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    2012/11/09 09:19

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