恋愛漫画~バンカラ編~ 公演情報 ライオン・パーマ「恋愛漫画~バンカラ編~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    粒ぞろいの劇中劇が楽しめる
    それはここの劇団の持ち味が余すところなく活かされている構成となっているので、面白い。

    だけど、ここの劇団の持ち味が仇になってることもあるのかもしれないな、と。
    素人考えだけど、そんなことも少し感じた。

    ネタバレBOX

    ライオン・パーマの面白さ、特徴は、1人の役者が複数の役をこなすことにあるのではないだろうか。
    それだけだとどこの劇団でもやっているのだが、ここはそれが少しだけ違う。
    それは早替えのようなスピードで、衣装も替えて(微妙なものもあるが・笑)、まったく違った役でドンドン出てくるところだったりする。キャラがきちんと変わっているのだ。ほかの劇団の場合、衣装は替えても雰囲気があまり変わっていなかったり、というのはよくある。
    しかしここは、どの役もそれぞれぴたっとはまって見えるうまさがある。

    今回も、劇中劇があるということで、1人平均何役やってんだろう、と思うぐらいドンドン変わって出てくる。

    それぞれの役の成り切り方がいい。
    役の違いの幅をあまり大きくしないところでの、別の役というのは難しいのではないだろうか、それを見事にこなしていく。

    同じ役者だけど別の役なのだろう、と思っていると、本屋のおじさんとマンガの編集者は実は同じ人だった、なんていうのもちょっと面白かったりする。

    物語はマンガ家の話。
    なので、マンガ家たちが描く内容が劇中劇でドンドン出てくる。
    冒頭の「えっ何??」となるエピソードも含め、つかみはOK。

    それぞれの劇中劇自体が、どれもシュールネタのオンパレードなのだが、とても面白い。
    個人的には、ハズレなし、というところだ。

    ……ん? ひょっとしたら劇中劇となっている個々のショートストーリーをつなげて見せるための物語ではないのかな、これは、と思うほど。

    とは言え、あまりにも劇中劇がしっかりとしているのと、数が多いので、全体的には少々中だるみのようなものも感じないわけではない。

    それには、ひょっとしたら、ここの劇団の持ち味が関係しているのかもしれないと思い当たる。

    前に見たときもなんとなく感じていたのだが、作品全体を締めるタガのような役割、背骨のような役割がいないということ。
    つまり、ここの持ち味である、1人何役もこなしているということで、逆に作品の軸、中心のようなものが見えにくくなっているかもしれない。

    それを解消するには、(あくまでも素人考えではあるが)主人公となる人物については、他の役をさせずに、どっしりとさせ、中心、軸を担わせていたほうが、全体が締まり、中だるみや脇道感を感じないのではないだろうか。

    それには、もちろんそれだけの「オーラ」を持った、「主役」ができる「役者」が必要であることは言うまでもない。

    どの役者もうまいのだから、変化させていくことではなく、今度はじっくりと自分の役に向き合うような役を、「主役」としてさせてみるのはどうであろうか。
    変化とは違うスキルが必要だと思うので、それをきちんと育てることが必要かもしれない。
    今までのライオンパーマとは違った役者の姿かもしれないが、ひっとしたらこれから、それが必要になってくるのではないかと思った。

    ストーリー的には、ラストで「恋愛漫画」ということなので、ほとんどの観客が火山火山夫婦のエピソードが出てくるだろうと予測したであろう。実際そうであった。

    観客の予想がつくラストならば、途中で火山の妻が語るエピソードにプラスして、うまくまとめる、さらなるエピソードが欲しかったところだ。
    確かに、雨上がり、ベンチでもたれ合って眠る2人の姿というのは美しいのだが、それだけではもうひとつインパクトに欠けたような気がする。
    劇中劇であれだけ面白い展開が描けたのだから、ここはひとつ、もっと感動的で美しいラストエピソードが描けたのではないかと思う。そこが少し残念だ。

    …しかし、これって「バンカラ編」ってあるのだけど、続編もあるのかな??
    今回の作のチャー・アズナブルさん以外の誰かが引き継いで続編書いたりして(笑)。

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    2012/11/04 13:35

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