イントレランスの祭 公演情報 サードステージ「イントレランスの祭」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    色々と考えさせる作品
    「不寛容」「差別」の問題を正面から扱うなら、いろいろ意見が
    あると思うけど、この位が限界なのではないかと思います。
    これ以上やってしまうと、陰惨でかつ重い、エグい作品に
    なってしまう危険性があるので…。

    入場時に配っていた、鴻上氏の、英国留学体験を交えた
    挨拶文、恐ろしくリアルで、本作に対する見方が変わるほどです。

    ネタバレBOX

    ラスト直前で、「宇宙人を殺せ!」コールと共に、ケンゴが
    花束でホタルを殴りつけるシーン、結構辛くて正視に
    たえなかったんですが、これ以上にリアルにすると
    後味が悪すぎますよね…。

    本作『イントレランスの祭』ですが、

    地球人と宇宙人、見かけ、そして立場の違いから生まれる、
    区別、差別、「不寛容」―イントレランスを扱った作品で、

    宇宙人と地球人の区別を気にしないケンゴが、安心を得て
    太ってしまったホタルの姿をなかなか受け入れようとしない。

    逆に宇宙人にとっては人物の痩せ太りはさほど気にならない
    問題なのが、ホタルの皇位継承権第9位という立場は自分達の
    統合のために何が何でも必要なもので、

    そのためにはケンゴの「路上アーティスト」という肩書は釣合が
    取れない、抹殺すべきもののように映る。

    ある場面では区別・差別されるものが別の場面では区別・差別し、
    区別・差別するものが、またある場面では区別・差別される立場に
    変わる。

    自分が重く区別・差別される立場でありながら、敢えて差別集団
    ジャパレンジャー」に肩入れし、自分たちへの差別感情をよそへ
    持っていこうとするテレビディレクターの男の姿に、ただの正義では
    割り切れない、この問題の複雑さをひしひしと感じさせました。

    威勢のいいことを言っていた「ジャパレンジャー」の隊長が、自分が
    想っていた弁当屋のバイトの娘が宇宙人のホタルと気が付いてからの
    狼狽えようが笑えるけど、悲しい。そして、見えない敵と闘っている、
    この手の存在の滑稽さが、こうして客観的に見せられると痛々しい。

    ラストは爽やかに終わったと思いきや、結構、人物たちの言葉の
    端々から、それでいいのか!? という思いを募らせられる、なかなかに
    苦い物語になっていました。

    今、思ったけど、花束で殴っていたのは、この後の永遠の別れを
    想ってのことだったのかな? そうだとすると悲恋の話でもありますね。。

    演出は…正直、ちょっと古い感じがする。でも、その古さ、いなたさが
    逆にいい味を出していた場面もあるので、一概にはいえないですね。

    結構、殺陣のシーンなんかは楽しめたくちです。あれだけ激しい動きを
    綺麗に見せられる劇団員はやっぱり凄いな、と思いますね。次回作にも
    歌と踊りは入れてほしいと思ってます。

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    2012/11/04 10:16

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