リンクス東京 感謝!! 来年も東京で!! 公演情報 演劇ソリッドアトラクションLINX’S「リンクス東京 感謝!! 来年も東京で!!」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    充実の遠出
    LINX’S TOKYOのAチームを観る。
    関西のひとりの演劇ファンが企画して実現したというこの東西相互乗り入れイベント、
    未見の劇団を知る絶好の機会であり、本公演を観たいと思う劇団がいくつもあった。
    6劇団が20分ずつという集中度も程良く、企画の面白さと今後の可能性を
    感じさせる充実した時間だった。
    この日のMCは伊藤今人と西川康太郎の二人。
    コンパクトでメリハリがあり、よいMCだったと思う。

    ネタバレBOX

    1. THE 2VS2(2対2と読むそうな)「ファンファーレと熱狂」
      クリスマスの恋愛ものかと思ったら有馬記念の馬の話。
      ホレた雌馬を追いかけて本番も頑張って走ったのに去勢されてしまった馬の末路。
      中盤これが人の話ではなく馬の話なのだと判るのが可笑しい。
      天使と悪魔のように彼らを操りそそのかし、その気にさせようとしていたのが
      ジョッキーだったというのも、馬と判れば納得の面白さ。
      種明かしのタイミングのセンスが抜群。

    2. 劇団エリザベス 「あひるぐち、ハニー。」
      一度観たかったエリザベス。
      アニメの声優みたいな声で、彼に会いに行くとウキウキする女の子が登場。
      この女の子を演じる長谷美希さんが素敵。
      キレのあるダンスが素晴らしくて見とれてしまった。
      もう一人の田中ありすさんの脚の組み替えも超お見事。
      シュールな展開がまた考えさせるもので、引き込まれた。
      キャラのイマドキ感と予想をはるかに超える身体表現の豊かさ、
      価値観を揺るがすストーリー性に、本公演を観てみたいと思った。

    3. 劇団ニコルソンズ 「セックスレス夫婦の大冒険」
      今とても勢いのある劇団ニコルソンズ。
      ゾンビ発生というパニックムービーばりの設定の中
      セックスレス夫婦や結婚詐欺師、コスプレ風俗嬢やキャバクラのオーナーなど
      生き残った人々は、死を覚悟して懺悔を始めそれがまた波紋を呼ぶ。
      風俗嬢の数学的あえぎ声(?)には笑ってしまった。
      次回はシンプルな役者4人による作品を観てみたい。

    4. シアターOM「うしとら」プロジェクト 「うしおととら外伝ECLIPSE金環日食」
      冒頭のたっぷりとドラマチックな台詞回しが私的にはすごく好み。
      いまやこういうのってアニメか渋い時代劇くらいしかお目にかかれない気がする。
      20分の中でもう少し「うしお」と「とら」の語る言葉も聴きたかった。
      全巻制覇目指して公演中ということだが、
      継続してひとつの原作を舞台化するという試みに
      作品理解と世界観の共有の深さを感じる。
      作者の藤田和日郎さんが、毎回公演チラシを特別に描いてくれるという話に
      このプロジェクトに対する信頼ぶりがうかがえる。

    5. 彗星マジック 「丘の上で描いた絵の話」
      なんて素敵な衣装なんだろう。
      ずっと眺めていたいようなエプロンをつけて少年は丘の上で絵を描いている。
      毎日毎日風景に話しかけながら、その風景の移り変わりを重ねていく。
      その少年が近くの工場から来るロボットであり、
      彼の寿命が尽きようとしていることがわかったとき
      「風景」は動けない自分を哀しんで慟哭する。
      ──「僕」は「君」が描いてくれた「木」だよ、描いてくれてありがとう
      ロボットに辿り着いて両脇から彼を支える「木」の姿にボロ泣きしてしまう。
      ロボット(この日は木下朋子さん)の絵を描く動作が計算されていて美しい。
      宮崎駿ばりの設定と、世界を逆から見るその視点のユニークさが光る。

    6. ステージタイガー 「虎をカる男」
      動物に育てられた人間を引きとって、人間社会に適応できるようにする先生…
      オオカミ、虎、亀(?)、マンボウ(??)
      実は先生は、大学の研究室で人間とつきあうよりも、
      彼らと触れあって少しずつ人間らしくなっていく過程を見ている方が好きだった。
      次第に人間らしくなっていくことが喜びである反面、
      先生の苦手な“人間関係”が生じて来る怖れに怯えるという矛盾が面白い。
      奇想天外な設定の中に“人間社会の面倒臭さ”が描かれていて意外に鋭い。
      もっと筋肉を前面に出した公演が基本らしいから、そう言うのも観てみたい。


    もうこれは個人が企画する段階ではないだろう、石田さんすごい。
    定期的にこういうショーケース的イベントがあると、観たい劇団は一気に広がる。
    ただ、“内輪の交流会”的な雰囲気が濃すぎると
    結果劇団関係者の情報交換に終わってしまいそう。
    「ビジネスライクでクールな運営」と「熱い楽屋」を両輪として
    きちんと定着して定期イベントになってくれたら嬉しいなあ。

    Bチームも観たかったのに日程的に行けなかったのが残念。
    それと最終日のMCがバンタムクラスステージの福地さんだなんて
    もっと早く教えて欲しかった(/_;)

    しっかし上野は遠かった・・・。
    遠かったけど楽しかった。

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    2012/10/28 12:24

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