さわやかファシズム(無事公演終了!ご来場まことにありがとうございました) 公演情報 INUTOKUSHI「さわやかファシズム(無事公演終了!ご来場まことにありがとうございました)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    もっと激しく空虚に
    飽きなかったけど意外と満足度は低い。
    ラストかなあ。
    もっともっともっともっともっとを望んでしまうのだよ。
    「面白ければいい」という暴力で、他者の口を閉じさせるのは、皆もこちらの世界で体験済みのはずだからね。

    ネタバレBOX

    さわやかでもなければ、ファシズムでもない、そんなどうでもいいことは脇に置いたとして、インモラルでもなければ、反体制でもない。
    彼らの立ち位置が……なんてことはどーでもいいのかもしれない。

    なんていうか、すでにインモラルと思える世界とこちらはすでに地続きなわけだから。それは承知の上だろう。
    「面白ければいい」という暴力で、他者の口を閉じさせるのは、皆もこちらの世界で体験済みのはずだ。
    いつも「安全な側」にいたいのも同じ。

    マイノリティという名の下に、負けた人たちを集めて、逆恨み的に復讐をしていく。
    そこには利用する者と利用される者があり、それは気がつかないところが恐い。
    オロチも業田もそれは同じで、数の理論と空気がすべてを支配する。

    彼らのバカ騒ぎは、騒げば騒ぐほど空虚になっていく。
    ラストの大合唱の先にある、客電が点いた後の、観客が互い顔を盗み見たりして、ゴソゴソと立ち上がって、羊のようにもそもそと出口に向かう、その一瞬一瞬が、この演劇の本当のラストではなかったのだろうか。
    ナントカいう折ると光るヤツを手にして、ちょっと振ってみたりしして、にやけつつ、階段を上がっていく、その後ろ姿にラストがある。

    本当に虚しいわ。

    つまりだ、1人でテレビ見て、1人で毒吐いたり、仕事で同僚や先輩のことで陰口叩いていたりする私たちが、オロチが集めたマイノリティたちであり、業田的なところに一緒に面白がって乗っていくのも、同じ私たちであるということ。

    面白がるだけだから、「アレルギーだからちょっと…」という人に、「食べろ! 食べろ!」とはやし立てても、当然責任感とかは微塵もない。当たり前だ。
    これが、新しい暴力的なファシズムなのかもしれない、とか。
    そんなことはどーでもいい。

    ただ、舞台としては、オロチがマゴコロとかデッパとか集めるところが、実に丁寧に描かれていくのだが、ラストがなんか拍子抜けである。
    「えっ何、これだけ?」と思ってしまった。

    整理された結論が出るとは思ってない。たぶん混沌が描かれると思っていたのだが、意外にそうでもなかった。
    モロ出しのシーンも、最初は少し笑ったが、途中からはさほど面白くなかった。
    意味はわかるけど、ただ出せばいんじゃなくて、何か見ている者をうんざりされるようなこととか、「バカじゃないの」と呆れさせるところまでの昇華が欲しかった。
    単に、他人の下半身を見ているだけというのが面白くも何ともないということもあるのだが。

    これだけの作品を作り上げたのだから、ラストは、もっともっともっと、を望んでしまう。
    そこが非常に残念無念。

    もっと激しく空虚に! 
    世界は虚しいのだから!

    にしても、みんないい感じにうまい。
    服部の満間昂平さんとか、デッパの鈴木アメリさんとか、ちか先生の帯金ゆかりさんとか、いい仕事していた。

    <2012.10.13追記>
    若干マヨさんの「観てきた」を読んで、目からウロコでした。
    あの光るヤツ受け取らない自由も観客にはあったはずなんですね。
    「笑いながら全員が受け取ったかどうか確認しています」みたいな脅し(笑)で、全員が持たされ、立たされ、舞台の都合によるタイミングで振らされ・・・まさにこれが「さわやかファシズム」でした!(笑)
    そんな意味があったのか〜! そういう「意味」で、「参加」してたわけだ。
    知らず知らずのうちに、取り込まれていたということで、意図しているんだろうな〜。劇中と同じことをやられて、やっていたとは!
    お見事と言っておこう。

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    2012/10/12 05:11

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  • 若干マヨさんの「観てきた」を読んで、目からウロコでしたので、ちょっと「追記」として書き足しました。
    ああ、そういう意図もあったのか、と。

    2012/10/14 10:18

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