オセロ[Othello the Shakespeare] 公演情報 獣の仕業「オセロ[Othello the Shakespeare]」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    無題479(12-222)
    16:30の回(雨/曇)、最終日。雨が降る前に、とちょっと前に到着、まだ大丈夫だけど上をみれば分厚い雲が飛んでいく。外で待っていると立夏さんが中で待つよう声をかけてくださる。予定時間前ですが、先に受付...開場時間が5分遅れるという案内、なにげなく外をみていると傘をさしている人。16:10開場、座席は入って右側の壁に沿って椅子が2列(段差あり、ザブトン1枚)、先日みた「ロボット」とほぼ同じ席に座る。入って左にも数席。立夏さん自ら座席案内。黒い舞台、階段のようなブロックと黒い布で覆われた仕切り、カメラが3台(記録用)。シェークスピアです...もともと敬遠しているもの(あとチェーホフとか...有名で評価が高くていろんなところで演じられているモノですね)で、最近では柿食う客でもダメだった経験があり、何もなければ100%パスしていたハズ。が、先日、阿佐ヶ谷でのお芝居(森さん客演)、偶然、お隣にいらしてお話をさせていただき「オセロ」をやるというので、きっとなにかあるんだろうと思ったのでした。

    席に座ると波の音が聞こえてきます...BGMはヒーリング系、16:28前説、遅れているお客さんを待つとの案内、16:36前説、に合わせて、奥の地階(界)より役者登場、メインの客席に背を向け伏す5名、中央で佇む2名...波の音が高まり、開演~18:07終演。

    終演後舞台横にいらっしゃる立夏さんとお話する。みどり人のお芝居をみたのが8/24、1月はあっという間だった。「観たい!」にも書いたように3人の訳で予習、お話の筋はわかっても400年前の様子などはわからず...1600年というと関ヶ原の戦い、もちろんまだ生まれていない。

    かがり火のように揺らぐ明かり、役者さんの影と光、まるで薪能のような舞台。歌舞伎のような見得、拍子木のような響き、地を這い舞踏のように舞う、リズム/メロディ/ハーモニーが揃ったセリフ。地の世界から現れた演者による約90分。

    決して大きくはないそのカラダからこのように力強いものが生まれ、演者が渾身を込めて表現する。偶然からつながったこの公演、やはり舞台はみに行かなければと思いを新たにするのでした。

    んーと、12月、櫂スタジオ出演なのですね。

    ネタバレBOX

    数年前、新国立劇場でワーグナーの「ニーベルングの指輪」(ジークフリート/神々の黄昏)をみた。芝居が始まって少ししたら、ふとこのときのことを思い出す。オペラの演出は多様で、音楽や照明もポイント。本作もBGMや効果音、照明の色合いなどがひとつに溶け合い濃厚な舞台となっていました。会場が少し響きやすいためか、部分的にセリフが聴きにくいところもありました、予習をしていたし、「死者の書」も、上野の古代エジプト展などで少しだけ知っていたので何とか。

    顔の化粧のせいだけではなく「眼」が光る。観客を睥睨するオセロ、金剛力士象のような力強さも「隙」を見せれば脆くも崩れ果てるのでしょう。

    「化け物」を配置したのは面白かった。善でも悪でもなく、暗でも明でもなく、人でもなく獣でもなく、どこにもいなくてどこにでもいる、どちらでもないがために忌み嫌われ、恐れられる..のだろうか。

    少し雑記:
    右隣の男性(お二人)、開演前に「あそこの下から出てきて」と舞台装置に関するお話、左隣の若い男女、「稽古が終わって」とか「(チラシをみながら)知り合いの○○さんが出てる」などなど、どちらもお芝居に関係のある方のようでした。映像はDVDで販売してもらえるといいな。おかげさまで「オセロ」の文字をみかけると「どんなのかな」と思うようになりました。

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    2012/09/30 21:54

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  • miss_you様
     ご感想記載下さいまして誠にありがとうございます。主宰の立夏と申します。お返事をずっと差し上げたいと思っていたのですが、遅くなっていまい申し訳ありません。
     前回から引き続きのご観劇、深く感謝致します。頂いたご感想にお返事申し上げます。

    シェイクスピアについて:
     私とシェイクスピア戯曲との出会いは大学時代の頃で同窓の藤長と同じゼミにて(偶然ですが)学んだのがこの"Othello"でした。それともうひとつリア王は原語で学んだのですがそれ以外は日本語です。原語で学んだ際の原作の持つ力強さ、特に人間の普遍的な感情である嫉妬にこれだけ厚みのあるストーリーを載せている事…その懐の深さに感銘を受けました。今回の公演でOthelloをやりたいと言ったのは藤長なのですが、ぜひIagoをやってみたいと彼女にしては珍しく強う異主張があり、それに応えてみたいと構想を始めたのが本公演のきっかけです。
     訳は有名な福田訳を含めて5翻訳通読しましたが、坪内訳の声に出したときの迫力と音韻の良さ、また原文に最も忠実という点で個人的に飛び抜けておりました。

    演出について:
     前回公演「せかいでいちばんきれいなものに」では内容と、また女優比率の高さからバレエのような重心の高い動きを採用していました。また、これまでも私が少しバレエをかじっていた事からそのようなアッパーの動きが多かったのですが、オセロで「死の世界」に接続するにあたって・また獣を進化させるにいたって、書いて頂いたような日本の伝統的な身の振り方を取り入れました。結果、過去の公演とは異なった地の底からずるっと這うような迫力の展開が見え、これからの創作にも大きく影響を与える事となると思います。

    緑の眼玉の化け物について:
     目に見えない物、音にならない物、それでも私達の心に影響を与える物があると、個人的に信じておりまして、学生の頃から虚実の合間の存在を訳にする事が多かったのですが、今回の「オセロ」は、そんな今まで培ってきた物の集大成のような作りでした。
     これには客演頂いていた舞台芸術創造機関SAIの倉垣氏の芝居からインスピレーションを受けている面も多く、これまでやりたくても出来なかった事を氏にはほぼすべて託す事が出来た為、彼の力によるところが大きい事を記させて頂きます。
     また、原作の解釈の観点から申し上げますと、気高い軍人のオセロが嫉妬に駆られ別人のようになっていく様は原作の時点で若干急であり、正に豹変の体です。それは何故なのか?と考えたときに、更に、上演時間を80分に短縮しその部分が観客に皆様に違和感なく見て頂けるかと懸念も合った為、「化け物の介入・または憑依」という表現を採りました。

    余談:
     エジプトの死者の書を私が知ったのも実は上野です…。
     否定告白の内容が正に「オセロ」に内包される罰を網羅していると感じ、即決しました。

     映像ですが、レビューに書いて頂いた通り本公演では映像の撮影がありました。
     DVDなどでの販売については未定ですが、もし販売のめどが立ちましたら、お知らせ申し上げます。DVDになったら…と書いて頂いた事、本当に嬉しく思います。


    最後になりますが、この度はご来場いただき誠にありがとうございます。
    頂いたお言葉を忘れることなく、今後とも精進して参りますのでよろしくお願いします。

    2012/11/16 01:15

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