満足度★★★
『杏奈(俺)』(神里雄大)
岡崎藝術座の神里雄大さんがダンサーの入手杏奈さんに振付した作品で、入手さんは台詞を言ったり大袈裟に感情を表すようなダンスを踊るわけではないのにも関わらず演劇性が強く感じられ、興味深かったです。
下手に入手さん、上手に神里さんが現れて同じ振付を踊って始まり、曲が終わると神里さんの「杏奈、俺の話を聞いてくれ」という台詞から始まるストーカーの物語が展開しました。
出したゴミ袋を開封したり、一方的に思いを語ったりとストーカーの行動が気持ち悪く、かつ馬鹿馬鹿しさもあっておかしかったです。
入手さんが一昔前のヒット曲に乗せてキレのあるダンスを踊る姿がキュートでした。水を頭から被ったり、下着姿になっても嫌らしさがなく、健康的な雰囲気がありました。
神里さんはあくまで演出家という立場でダンス作品を作ったように思われ、動きにオリジナリティを持たせようとはせずに、入手さんが自分自身の役として踊ることによって、ダンサーと振付の関係が普通とは異なって見えるようにしていると感じました。