満足度★★★★
静か→「怖い」 狂った→「哀しい」
『ダメ出し』が超抜だったので、期待を胸に楽園へ。はたして上質の作品だった。
もともと坂上作品は、役者の外れはほとんど無い。コリッチでは酷評の連発だった『或る、致し方ない罪に対する やるせない復讐のはじまり』に出演してた お宮の松の演技は今でも克明に覚えてる。観てた時は「!?」だったのに。
今回の『静かな午前 狂った午後』の4人の役者さんも、良かったなあ。
吉井怜さんは、グラビアのイメージが強かったんだけど・・・狂気、バッチリ出てました。なんてことない会話なのに(場所が喫茶店なら、どこにでもあるような女子トークなのに)、ちょっとだけホンのちょっとだけ目をむくだけで、「うわぁ・・・この女ヤベェよ。。。」ってなったもん。ヤバイ匂いがプンプン漂ってきたよ。
あとはやっぱり古山憲太郎さんだよなあ。。。
『セコ』という作品で、はじめて古山さんの芝居を観たんだけど(ま、映像出演だったけど)・・・存在感がものすごいんだわ。怪しい、まじめ、不気味、キモい、フェロモン、汚れ、知的・・・相反するような要素が混在しまくってる魅力がある。その存在が謎すぎて、古山さんが物静かに立っていると可笑しみが湧いてきちゃうほど(笑)
脚本も良かった。
「ま、そうなるしかないな」って結末なんだけど(これがものすごく哀しいんだ)、あのラストで、作品が更に濃厚になったような気がする。4人の登場人物それぞれの視線・感情を想像しやすくなったんだよね、あのラスト5分で。古典文学を読んだ後のような味わいがあったなあ。
今回の『静かな午前 狂った午後』は佳作だったし堪能もしたんだけど、「坂上さん、ストレスたまってないかな?」なんて思っちゃったのも事実。
今までの作品は、狂気を暴力というカタチで表現することが多かったように思うんだけど、この作品では、狂気をかなり潜在化させたカタチで表現してた。
でも、暴力シーンだからこそ表現しうる「哀しさ」ってあると思う(ま、現実で殴られたり刺されたりしちゃ、たまったもんじゃないけど)・・・坂上さんの中で、そういう作品を作りたいという気持ちと、「でも暴力シーンは引かれるしなあ。」という気持ちがバトルしてるんじゃないかな?って(←もちろん妄想)。
で、案の定。
次回作は『SHINOBU's BRAIN in the Soup BOMB!』。
「BOMB!」が付いたよ(笑)
こりゃ、コリッチの評価が真っ二つに割れるな。
楽しみ。すっげー楽しみ。