a Colony 公演情報 劇団だっしゅ「a Colony」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    沖縄の願いは、当たり前に生きること
     苛めばかりでなく、差別、捜査などについてもこの国の陰険さは格別だろう。実際、検察の切れ者と言われ恐れられた検事が吐いた言葉を思い出す。予防拘禁についての発言であった。かつて学生運動などで、公安から目をつけられていた人々などは、現在、運動に関わっていようがいまいが関係なく、アメリカなどから要人が来日する際には、しょっぴいて檻の中に入れてしまう。容疑はでっちあげのことも多いとのことであった。兎に角、しょっぴくのが目的であるから何とでも言いがかりはつけられる。この検察官「しょっぴくのは当然だ」と嘯いていたのである。これは、現代のことだ。
     自分自身もある取材をしていた時に、恵比寿にある某研究所に仲間が出入りしており、事務所として使っていた自分の電話を連絡先として書き込んだ上で、資料の閲覧などをしていたのだが、暫くすると、その筋と思われる所から「手を引け」と脅しの電話が入るようになり、盗聴器を仕掛けたような雑音が入るようになった。もう随分昔のことにはなるが。それだけではない。自分の住居の周りには、怪しい人物が、何人かのグループで屯するようになったのである。
     福島第一原発1号機導入時にも、アメリカのスパイと読売の正力の懐刀、柴田 秀利との密談があり、政治的に原子力予算をつけたのは改進党に所属していた中曽根 康弘である。正力も中曽根も戦中の内務官僚であった。更にいえば、正力自身、ポダムという暗号名のCIAエージェントであったことは周知の事実である。
     こんなことを挙げたのは、この劇が、中盤迄、殆ど桁外し、おとぼけ、お茶らけに終始していたからである。それでも終盤まで見ていたのは、しょっぱなのシーンでロミオとジュリエットのパロディー場面が入った際、舞台の使い方が見事で力のある劇団であることを印象づけていたからである。その後も、何度かハッとさせられるような沖縄の抱える問題が提起され終盤に期待を繋げることが出来たからである。
     また矢鱈と登場人物にハーフが多いのだ。沖縄の実態に目を向けているヤマトンチュウなら気付く要注意マークである。事実、アメリカによる支配の実態は、占領と大差ない。多くの日本人が勘違いしているのとは逆に、米軍が日本に止まり続けているのは、日本を他国の侵略から守るためなどでは無い。寧ろ、日本を半永久的に属国たらしめる為だ。トモダチ作戦の本質は、米軍主導の米軍・自衛隊オペレーションの実施とエシュロン基地、三沢の防衛、米要人の沖縄差別発言、レイプ、ひき逃げ、傷害、暴行事件などで悪化した反米感情の反転、思いやり予算への民衆的反対運動の事前措置、基地問題の誤魔化し等々があったことは、自分の頭脳で考えることのできる人間なら誰でも気付くことばかりだ。更に、アメリカ製の欠陥原発への抗議、反原発運動を予め骨抜きにすることなども含まれていたであろう。
     こういったことを指摘すれば、当然、目をつけられる。そしてリスクを覚悟しなければならないのは当然のことである。だが、大抵の人々は、家族を持ち、中々リスクを背負う気にはならないであろう。その為にこのような形を摂ったのだと考える。中盤迄、断続的に芝居が中断されるようなシーンが出てきて興を殺がれるが、沖縄が現在、日々経験していることのパロディーと見れば、これは鋭い批評である。ヤマトにもアメリカにも蹂躙され続け、訴えることも思うに任せぬどころか徒労感を増すばかりという実態があるのだから。終盤の訴えは、我々、ヤマトンチュウが襟を正して聴くべき問題提起である。

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    2012/09/17 04:01

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