フリル 公演情報 アマヤドリ「フリル」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    何が足りなかったのかな・・
    と、考えてみる。

    印象に残る台詞はあったし、
    世界観みたいなものも魅力的な部類だったように思う。

    だからこそ余計に惜しいのかな、と、思ってしまう。

    ネタバレBOX

    魅力的な台詞の大半は後半に集中しているように思う。

    前半は、それぞれの物語がどう絡むか分からない
    4つほどの登場人物群の会話が交互に進行する。

    全体像がまったく見えてこないまま前半が過ぎる。

    これは辛いと思う。

    逆に、後半は、うっすらとだけれど、
    それぞれの人たちのかかわりが見えてくるようで、
    実はそれらの会話の大半が、
    蝉たちの見る白昼夢なのかもしれないとさえ
    ふと思えるような、
    フェリーニの8 1/2のような苦悩と幻想が、
    砂漠の幻想譚か何かのように強烈な夏の日差しに時に照らされながら、
    初演のヒラカタ・ノートのように
    物語同士が交互に入り組みつつ進んでいくようでもある
    (初演のヒラカタ・ノートほどは入り組んでないのかもしれないけど

    そういう意味で、後半は非常に魅力的だった。

    ただ、そこに辿り着くまでの前半が非常に苦しかった(汗

    そういう意味では、当日パンフに書いてあった、
    説明をしないことを目指して作られたハズの物語の、
    骨格を形成すると思われる部分が
    非常に退屈になってしまい、
    逆に想像力の翼を広げたと思われる
    幻想的な後半部に面白さが凝縮されてしまったとも言えるかもしれない。

    この舞台は、
    退屈ではあるが、分析には有益と思われる前半部によって、
    全体として
    幻想と現実とのバランスがうまく取れ
    (最終的には幻想に大きく傾くようではあっても
    ひょっとしたら解析好きの批評家には受けが良いかもしれない。

    ただ、盛り上がりに欠けた前半部は、
    仕事帰りに疲れきって観劇に来た多くの人にとってはどうなんだろうか?
    と、思ったりする(もちろん自分もそうです(苦笑

    正直、物語は後半だけで良かったように思う。

    もしすべてを詰め込むつもりなら、
    時系列に従って退屈になることを避けるため、
    順序を逆転するなど、
    色々と方法はあったように思う
    (ようは面白いところを先にしたり、退屈な部分の前後に面白い会話をサンドイッチ的に挟み込んだり・・ふつうに行われていることで

    また、登場人物がこれだけ必要だったのか?
    という疑問も残る。
    印象に残らないキャラクターが多すぎる
    (これは多くの劇団に言えることだけれど、物語に流れが無いと余計に感じてしまう

    今回が第0回公演で、
    次回に登場する人物たちの紹介と言う意味での
    配置なのだとしたら、
    今回の演劇祭をピークに持ってきた
    他のいくつかの劇団と比べてどうなのか、
    という気もする。

    世界観は魅力的で技巧的だが、
    力強く物語ってはいない、
    というのは、ライトノベルに良く見られる傾向のように思う。

    ただ、ライトノベルの魅力的な部分を演劇に
    置き換える過程で、
    語りの弱さまで写し取る必要はないと思う(そういうところを目指しているように自分には感じられる

    世界観さえ魅力的であれば
    語りの弱さに堪え切れるのは、
    物語に出てくるような
    「いわゆるオタク」な男性だけだと思う。

    ・・自分としては、砂漠の曠野の焚火に照らされた影の中で踊るような、
    生命力にあふれた語り口こそ、演劇には
    もっとも相応しいように思うのだけれど・・。

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    2012/09/11 01:13

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