満足度★★★
ずっと傍観していました
個人的に大嫌いな、役者が開幕前から、舞台内容とは無関係な無駄話をダラダラしているという形式の舞台で、こういうのって、青年団や蜷川さんがよくなさるけれど、今回の舞台ほど、その演出がマッチしない違和感を感じたことはありません。
たとえば、そうしておいて、始まったら、全く空気が一変し、あー、プロの役者って凄いなと思わせられるなら、それも一興でしょうが、この舞台では、円形劇場で、元々、対面に他の観客も視界に入るわけですから、よほど、役者に力量がないと、舞台が暖まるまでに、無益な時間を労して、決して得策だとは思えません。
開幕当初は、上記の理由と他の理由も加わって、なかなか描かれている世界に馴染めず、私にとっては名子役のイメージだった松田さんが、いつの間にか、こんな中堅俳優になられたんだなあとか、青井さんの秘蔵っ子だったある役者さんが、昔は、前説もオドオドして、とても役者さんには向きそうもないと思ったけれど、それなりに、成長されたなあとか、余計なことばかり、脳裏をかすめての観劇に終始してしまいました。
他のお客さんも話していましたが、誰か、ご贔屓の役者さんがいれば、楽しめる舞台かもしれません。
渡部豪太さんのキリストは、見た目も麗しく、適任だったとは思います。窪塚さんのユダも、ぞくっとする魅力があったのですが、後ろ向きの台詞が、聞き取りにくく、残念な部分がありました。
食事しながら、感想を話している二人連れが言っていたけれど、「円形舞台だと、台詞が半分ぐらい聞えないね」って。でも、きちんと発声を学んでいる役者だとそういうことはありません。今日の役者陣には、円形劇場は不向きだったのではないでしょうか?
以前、青井さんが演出された、ミュージカル「ゴッドスペル」の方が、ずっと濃密で、キリストとユダの関係を深く考える一助になる舞台作品だったように、感じました。
もしかして、作者は、キリスト教信者でありながら、同性愛嗜好の方なのでしょうか?
自らの信仰の正当性を主張したくて、こういう芝居を書いたのかしら?と勘ぐってしまいました。