ユリコレクション【ご来場誠にありがとうございました!】 公演情報 ラフメーカー「ユリコレクション【ご来場誠にありがとうございました!】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    演技とあかりが織り上げる時間の立体感
    冒頭から、照明の美しさに惹かれ、
    紡がれやがて浮かび上がる
    主人公たちの姿に一つの色で心を奪われて・・・。

    その繋がれたものの肌触りに
    惚れてしまいました。

    ネタバレBOX

    冒頭からしばらくは、
    ちょっととまどう。
    説明的なことはあまりなく、
    その刹那の印象を置いたまま、
    シーンが次へと歩みを進めて・・・、
    ふっと観る側の立ち位置に迷う。

    でも、そのシーンに編み込まれたものが、
    少しずつ繋がっていくにつれて、
    次第に抱いているものが形になってきて、
    やがて、母と娘のそれぞれの時間に編み上がっていくと、
    冒頭のとりあえず受け取っていたものも
    しっかりと世界の広がりとなって、観る側を物語に浸していきます。

    母親の時間と娘の時間、
    二つの時が撚られて進んで行く舞台、
    次第に枠組みが明らかになり、
    登場人物たちのロールが浮かび上がってくると、
    それまであいまいだったものが
    物語の歩みの中で、
    後ろ側の広がりのように観る側を包み込んでいく。

    シームレスに織り上げられていく母と子のシーンたち、
    主人公のカメラと服と想いの色、そして才能。
    時の移ろいを表す役者たちの身体、
    それらが記憶と現在の質感を
    内心の景色のごとく一つの舞台に織り上げていく。

    容姿などで一人の人物の時間の経過を表現することは
    ある意味、それほど難しいことではないのかもしれません。
    でも、この舞台の役者たちは
    外見的なものをさして変化させることなく、
    その刹那の表現に込めたロールが抱くものや醸し出される想いの色で
    二つの時間を切り分けていく。
    主人公もやり方は同じ、
    妊娠の表現にしても安易に体型を物理的に変化させることなく、
    しなやかに子供を授かり、その時間を過ごした母の姿を
    紡ぎあげて見せる。
    観る側は、舞台の時間たちに乖離がなく
    物語の枠組の中の二つの時間の重ね合わせではない、
    流れる一つの時間の前と後ろの感覚に
    浸されてしまう。

    場の転換に不要な区切り感を与えることなく、
    シーンをつないでいく舞台美術、
    そして、照明も息を呑むほどに美しく、
    かつキャラクター達の姿や想いをしっかりと映えさせる
    圧倒的な力があって。
    ただ、役者を照らすのではなく、
    明かりもまた語り、ロールたちの想いに
    さらなる陰影を作り出していて。

    観終わって、主人公(達)の姿が、
    今であっても、その時間であっても
    とてもビビットで魅力にあふれ、
    ありていに言えばちょいと惚れてしまったり。
    他の人物たちにも、概念としてではなく、
    存在としてのリアリティがとても自然に心に残って。

    物語のくみ方などには、
    ほんの少し不要なもたつきを感じさせる部分はあったものの、
    終わってみれば、
    夏にもかかわらず、降る雪の肌触りまでも舞台と共有しておりました。

    秀作だと思います。

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    2012/09/09 07:24

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