ミス・サイゴン 公演情報 東宝「ミス・サイゴン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    180度違う新生「ミス・サイゴン」
    これは驚きました。演出で、ここまで別の作品に生まれ変わるとは!

    今、この作品の上演の意味がわかると言うか…。

    アメリカ人の本質を見事に活写した作品になっていました。

    今までのように、「ミス・サイゴン」の名曲の数々と、キムとクリスの恋愛模様を堪能しようと、劇場に足を運ぶと、肩透かしを食らうかもしれません。

    1幕は、正直、とてもつまらなく感じます。でも、2幕で、エレンが登場すると、新演出の意図するところが明確になり、俄然興味を引かれました。

    初演から、20回以上観劇した作品ですが、今回程、終った途端、「この芝居、大嫌い!」と感じたことはありません。

    新演出の狙いどおりだったのかもしれません。

    ネタバレBOX

    笹本キム、原田クリス、岡ジョンの日でした。

    今までと、演出とセットがまるで違って、以前は、同じように感じた、サイゴンとバンコクのキャバレーの様子1つ取っても全く別の作りになっています。

    サイゴンとバンコクとアメリカと、それぞれ、リアルに、その国の特性を表出するセットの見事さに感服しました。

    セットで、その国の特性を出すことで、クリスの精神的立ち居地も暗示しているような気がしました。

    1幕のクリスとキムの恋愛模様は、今までのようなベットシーンではなく、ぼろい階段でのラブシーンとなります。はっきり言えば、せっかくの名曲を楽しみにしていた人には、とても残念な場面設定だと思います。
    でも、2幕で、妻のエレンとの関係性を見せられると、この演出意図が理解できるのです。

    つまり、クリスにとっては、キムとの恋愛は、その場しのぎの足掛け程度のものだったということを表したくて、階段でのラブシーンにしたのではと思えるわけです。

    今まで、気付かなかったのですが、2幕での、キムのクリスとの別れの回想場面は、あれは、あくまでも、キムの妄想でしかないんですよね。

    これまでの上演形態だと、キムとクリスは、お互いに相思相愛だったような描き方で、そのため、2幕で、エレンにクリスが言う台詞は、本音ではないような解釈が成り立ち、クリスが、優柔不断な男のように見えたのですが、今回の上演では、クリスにとっては、キムはあくまでも現実逃避の道具に過ぎず、2幕で語られるエレンへの言葉こそがクリスの本音だと捉えられるのです。

    「ブイドイ」が、ちゃんと演説様式になっていたり、対立する人物の歌唱が、ぶつかり合って、耳に心地良く感じられないのも、演出意図なんでしょう。

    ヘリコプターも、映像が、見事に、実際の登場人物の動きとマッチして、むしろ今まで以上に、リアルに感じました。

    昔は、おもちゃみたいなヘリが動かなくなって、そのため休憩が1時間以上にもなったり、いろいろ機械の不具合のせいで、せっかくの役者さんの好演に、水を差すケースが多く、大変でした。

    市村さんのエンジニアも今まで拝見した中で、一番良かったように思います。

    岡さんの、キャバレーでのオサワリシーンが、ちょっと見ていて気恥ずかしくなるのと、笹本さんが、相変わらず、母親には見えない点を除けば、私には、今の上演の意味を感じられるという点においても、この「ミス・サイゴン」は一見の価値ありだと思えました。

    ただ、やっぱり、1幕のつまらなさは、演出意図だとしても、正直やや残念な気はしてしまいます。
    一般的なミュージカルファンのおば様方は肩透かしを食うミュージカルかもしれません。

    でも、ハワイの住民の騒音被害には配慮しても、沖縄の人々への配慮はしない、アメリカ人気質は、とてもよく出ている、新演出傑作「ミス・サイゴン」ではないでしょうか?

    5

    2012/08/25 01:00

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  • なんと!エレンに新曲が。ご親切にありがとうございます。東京公演は9月9日までですね、考えます~。

    2012/08/29 19:58

    しのぶ様

    父亡き後、私が唯一信頼している劇評家の萩尾瞳さんが、今日の東京新聞の劇評で、私が心の中で思った部分まで含め、ほぼ私と同様の感想を述べられていて、意を強く致しました。

    萩尾さんの劇評で知ったのですが、今回、エレンの歌う曲が新曲になったそうです。

    道理で、今までは添え物みたいな存在だったエレンの側面が丁寧に描かれている感じがしたわけですね。

    相変わらず、好きな内容ではありませんが、新生「ミス・サイゴン」は、確かに、現実的で、人間描写も、従来より卓越していると感じます。

    2012/08/29 01:38

    大昔に帝劇で観て、私には合わなかったんです。演出次第で舞台は激変しますよね。新演出の「ミス・サイゴン」、チェック入れておきます。ありがとうございました!

    2012/08/27 17:42

    しのぶ様

    1幕は、確かに眠くなるんです。(笑い)

    私の前のおば様は、1幕はずっとオヤスミでしたが、2幕はしっかり目を見開いて観ていらっしゃいました。

    私は、ミュージカルも、ストレートプレイもどちらも大丈夫だから、楽しめましたが、きっとしのぶさんも、ご同様でしょうね??

    この新演出で観ると、全ての台詞が腑に落ちて、むしろ、最初の演出が間違った解釈をしていたのではと思うくらいでした。

    2012/08/25 03:11

    ネタバレも読ませていただきました。わー見たくなる~。

    2012/08/25 01:16

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