満足度★★★
Mrs.fictions『花柄八景』鑑賞
近未来における噺家不在の落語ブームという設定の中、濃い登場人物達が物語を織りなす王道的な作品でした。やや古臭いスタイルの作りながら、登場人物が魅力的で楽しめました。
落語の対コンピューター戦に負け、世間から相手をされなくなった落語家の元に転がりこんで来たパンクスのカップルと頭の弱いストリートチルドレン、一度は弟子を止めたものの未練があって毎日師匠の部屋へ来るようになった元弟子のコミカルなやりとりから師匠や落語への愛情が感じられました。
感動的なシーンを大袈裟にせず、さらっと描いていたところにセンスが感じられました。師匠が脱ぎ捨てていった羽織を丁寧に畳む元弟子の様子が印象に残りました。
落語の噺の引用と、攻殻機動隊や初音ミク等のサブカルチャーネタの笑いの取り方のバランスが良かったです。シド&ナンシーの話を落語で演じるのが楽しかったです。
今村圭佑さんと小見美幸さんパンクスのカップルのキャラは典型的な描き方でしたが、台詞回しや間の取り方が上手くて、笑えました。ストリートチルドレンを演じた北川未来さんはあまり台詞はなかったものの不思議な存在感があり魅力的でした。