劇団ハタンセ『タイタス・アンドロニカス』 公演情報 こまばアゴラ劇場「劇団ハタンセ『タイタス・アンドロニカス』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 熱い舞台、スタンディングで観劇
    劇場に入ると「スタンディングで」と観客に勧めていた。
    「それならばスタンディングで」と思い劇場内に立つ。
    わくわくした。

    ネタバレBOX

    とても血なまぐさい物語。
    「復讐」が「復讐」を呼ぶ「負の連鎖」の物語でもある。
    今の日韓のこの時期に、この物語が示すものは大きいのではないか、と勝手に思ったりしながら劇場に入った。


    劇場に入るととてもフレンドリーにワインなどを勧めてくる。
    ローマ市民(スタンディング)として観劇。

    しかし、いったん舞台が始まると、役者がとても熱い。
    全員が全身で台詞を語るようだ。
    なのに鬱陶しくはない。引き込まれた。

    悪役が悪役然としているのもいい。
    特に、ゴートの王女タモーラは、目の強さ、顔の上げ方が、強い信念に貫かれた女を感じ、とても印象に残った。また、タイタスの娘・ラヴィニアも韓国系の美人なだけに、血まみれの姿は痛々しさを通り越していた。

    セットは大きな箱3つから成り立ち、それを動かすことで、形を変える。われわれローマ市民が役者が上に乗った、その箱が動かないように押さえたりする。

    韓国語の上演で字幕はないのだが、それはほとんど障害にならなかったと言っていい。
    もちろん、台詞そのものの内容はまったく理解できないのだが、『タイタス・アンドロニカス』のあらすじさえ知っていれば、特に問題なしだったと言っていい。

    かつて、台湾の劇団を、やはり字幕なしで見たことがあったが、そのときもまったく問題はなかった。ちなみにそのときはオリジナルの作品なので、あらすじを知っていたわけではなかったのにだ。

    時折、片言の日本語の台詞を交え、何が起こっているのかを告げてくれる。
    役者さんたちの、伝えようという気持ちが前面に出ているように感じた。

    とても血なまぐさいストーリーで、もしに日本の劇団が今上演したとしたら、「血」は血糊は使わないだろうと思うのだが、この劇団ではストレートに血糊が流れる。
    想像させるのではなく、見せることを選択したのだ。

    演技を舞台の上に立って見るということは、もの凄く役者が近い。思ったよりも、ビンビン来る。これはスタンディングで見て正解だったと思った。
    座席に座り、舞台の上の出来事を眺めているだけでは味わえない感覚だ。

    と、書いたのだが、スタンディングには、1つ誤算があった。

    なぜこの感想の★がないのか、ということにつながる。
    実は、あと17、8分で終了という頃、つまりこの物語のエンディング間際で、まさかの貧血!
    壁に行って折り畳みの椅子を自分で出して座ったのだけど、座っていても倒れそうなほどの貧血なので、転げるように外に出た。

    日頃の不摂生と寝不足が原因だ。無念。

    受付の椅子に座りブラックアウトしてしまった。
    青年団の方が親切に冷たい麦茶と冷たく濡らしたタオルを持ってきてくれた。
    本当にありがたかった。この場を借りてお礼を言いたい。
    結局、椅子に座りながらでもふらふらした頭で、ロビーにあったモニターでラストを観たので、最後まで観たことにならず、★は付けなかった(たぶん最後まできちんと観たら★★★★★だだったと思う)。

    最終日に外に出た者がいたな、と思っている方に、演劇がつまらなくて出たのではない、ということは言っておきたい。
    もちろん、劇団ハタンセの方たちにも、伝えてほしい。

    できればもう一回観たかった。

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    2012/08/20 04:55

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