満足度★★
合計6作品(7作品)なので評価は平均値になる
一人芝居フェスティバル、合計6作品+幕間という構成なので、簡単にそれぞれの作品ごとに感想を書きます。
Aブロック
『従営獣』
一人の男が、ショップでもう一人の店員(女)と話をしている様子を描いている。
ストーリー的にもあまり面白いところはなかったが、話している間中男は動き続けている。その動きに意味がなかったのが最大の欠点。
演者はいろいろな動きをしている。それには本来意味はないのだろうが、本当に意味がないのだ。
動き自体に意味はなくとも、その動きによって観客に与える影響を考えて動かなければいけない。しかし、それが全く考えられておらず、ただ「動いているだけ」。これは芝居ではない。
それから、作品は怒涛のようなセリフの波だったが、演者の滑舌が悪く、何度も噛んでいた。これも作品の質を大きく落としていた。
音響のタイミングや大きさも気になったが、オペレーターは全作品同じ人で、特にこの作品のスタッフというわけではなかったのだろうか? もし専用のスタッフだったならこれも頂けなかった。
『みぞれ』
4人の登場事物を全て一人で演じる形式。
ト書きも演者が読む形で、一人芝居の意味があるのかとさえ感じる。
演じ分けも無理に声を作っているのせいか、役柄と合っていない。
『いまさらキスシーン』
全作品の中で一番面白かった。
これも怒涛のセリフの波だったが、きちんと緩急が付き聞き取りやすい。
セリフや動きの繰り返しやストップなどちゃんと考えられている。
この作品は音響ミスもなかった。
作者・演者の力量の差だろうが、一人芝居がどういうものなのか考えられている作品かどうかの違いがはっきり見える。
他がつまらな過ぎてこの作品が素晴らしいものに思えてきたが、実際はこれくらいがスタンダードであって欲しい。
Bブロック
『Comfortable hole bye』
「死」についての考察を、どこかの空間にいる人間(のようなもの)が、誰かに向かい喋り続ける。
まるで高校演劇でも見ているのかと思った。
演者の力量という点でも勿論だが、作品内容についても、思春期に入ったばかりの子供の思い上がった愚痴としか見えない。
大人が作り、発表するには恥ずかしすぎる作品。
『スパイラルベイビーのおと』
アイデアは悪くない。
舞台を3分割し、それぞれ別の役を演じるが…。という。
よくあるネタと言ってしまえばそれまでだが、作品としてのとっかかりは悪くなかった。
しかし、ここも演者の力量不足、作品を膨らませる力不足だった。
関係者側からはどうにもならないこととは言え、この作品の上演中、演者の知り合いと思しき観客たちが、面白いわけでもない演者のちょっとした仕草にやたらと笑っていた。
どんな作品でもそうだが、これでは他の観客たちは冷めるばかりで、結果として関係者側も不利益だと思うのだが、呼んで来てもらわなければチケットが捌けないのだろうか。
『暗くなるまで待てない』
他の人間がいるかのようにふるまう形式。
ストーリーがあることで退屈はしなかった。
すごく面白いというわけではないが、これなら及第点。
演者も独りよがりではなく、一人芝居をやろうという意識が見えた。
幕間
『キネマおじさん』
「タイタニック」「借りぐらしのアリエッティ」「テルマエロマエ」の3作品をパロディ化。
もっとアイデアが欲しかったところだが、喋りは慣れていて不快感はなかった。
招聘作品と九州勢との差があまりにも酷かった。
一人芝居とはなんなのか、どんな形で表現するべきかといった基本的なことを考えずに発表している作品ばかりで頭が痛かった。
予選もあったとのことなので、これが勝ち残りなら予選はどうだったんだと恐ろしくなる。
それともあまり作品が集まらなくてこういう結果なのだろうか。
2012/08/22 11:53
2012/08/22 01:06
2012/08/18 12:06
なるほど、書類審査のみだったのですね。
ありがとうございます。