10station  都合のいい記憶〜凌霄花〜 公演情報 劇団始発列車「10station 都合のいい記憶〜凌霄花〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    原作がいい
    記憶編集アプリが登場するとそうなるだろうなと、原作に説得力がありました。

    ネタバレBOX

    無料版記憶編集アプリMOBは記憶を保存するだけですが、有料版になると記憶を消去することも可能で、他人や社会との関係で不都合が生じるようになります。認知症の人を相手にするような感じです。

    楽しかった思い出だけを再生し続ける行為は引きこもりとも言えます。

    恋人の死をきっかけに、主役の彼女は死を知ってからの記憶を消去して、死を知るまでの記憶を再生し続けるようになり、引きこもりで認知症的な、完全に社会性を失ってしまいました。

    記憶を消去したという記録が残されているのがこのアプリの救いでしたが、時の経過が苦しみを和らげるという効果が効かないので、復活させる度に強いショックを受けまた消去してしまいます。

    記憶の欠如に対する違和感を認識し、事実を受け入れる決心がついたとき、彼女は記憶を復活させ、つらい思いに耐えながら社会に戻りました。

    MOBの社会に与える影響は計り知れないものがあったはずです。アプリ制作の是非についての議論や規制の動きが全くなく、メーカーの研究チームに勤務する友人が何の表明もしなかったことに対して少し物足りなさも感じました。

    舞台は喫茶店、正面の椅子席の背後になぜ仕切りが置かれているのだろうとずーっと思っていましたが、そこに彼の姿が映し出されたのを見て納得しました。他にも、奥、左右、天井にもプロジェクトによる映像が映されました。誰も座ってはいませんでしたが、最前列の数席だと映像に包まれたような味わいになっていたかもしれません。

    初っ端に前面のスクリーンが一部残ってしまった際に彼女が即座に外さなかったことや、舞台の照明が落ちてしまったことなどちょっと詰めの甘さはありました。

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    2012/08/10 07:10

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