満足度★★★★
翻弄されるとはこの事
電動夏子安置システム、実に4年ぶりに観た。
前に観たのは『笑うフレゴリ』
知的な仕掛けが沢山だった印象が未だに残っている。
そして今回。
舞台装置がかっこ良かった。
いくつもの部屋を一つの舞台空間で華麗に魅せる空間作りが、
なんかモダンな感じ。
ドアが沢山、壁はなし。
やっぱ舞台は物が少ない方がかっこ良い。
その一つの空間を、照明でテンポよく切り取って場面転換、という手法が観ていて心地良かった。
企業内対立を抱える会社の重役の家を舞台に、誘拐事件やら悪だくみやらなんやらが入り乱れてごっちゃごちゃ。
みたいなあらすじ。
「勘違い」というのが一つ、芝居を面白くしていた。
それぞれが、自分の持っている情報のみを頼りに、そこに引き付けて話を進める。
その、誤差が次第に破滅的になっていく過程に思わずニヤリ。
勘違いされたらイヤだな、なんて思いながら人は言葉を選んで暮らしているが、
実際には世の中、勘違いとすれ違いに満ちているのかもしれない。
役者陣はバランス良く色んな個性が揃っていた。
会社の重役・江島伸年(=道井良樹)の雰囲気、
家政婦・二宮實智子(=なしお成)のコミカルさ、
警察・佐地兼生(=小原雄平)の渋さといい加減さ、
そして謎の女・三橋由子(=田口愛)の存在感。
素敵でした。
この内3名は劇団員との事。
面白い人が揃ってるな。
「勘違い」ネタで初めから終わりまで強引に攻めきった感はあるものの、リズムとテンポで愉快に観られました。
多少、伏線を張りすぎてこんがらかる部分はあるものの、
劇場出た後に
「あれ、なんだったんだろう?」
とパンフレットを開いてしまうのも、
この手の芝居の醍醐味だろう。