招待されなかった客「ご来場誠にありがとうございました!」 公演情報 劇団東京乾電池「招待されなかった客「ご来場誠にありがとうございました!」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    毎日が”不条理”
    別役実の不条理の世界、しかも二人芝居とあって楽しみに出かけた。
    役者の個性なのか、演出なのか、“不条理”なんて忘れて普通に笑っちゃった。
    それにしてもアトリエ公演、なんと素敵な空間なんだろう。

    ネタバレBOX

    下北沢のアトリエ乾電池へ初めて行った。
    入口のスタッフさんといい、靴を脱いで入るアトリエといい、とてもよい雰囲気で
    フライヤーのなんだか可愛い絵と同じ柄の当日パンフやチケットも嬉しい。
    セットの“魔女の家”も、おどろおどろしいのではなくて“小さい魔女”の感じ。
    横長のテーブルには乱雑にボトルやグラス、本などが置かれている。
    上手側のテーブルには「わが町」のミニチュア、白い人形が配置されている。

    やがて魔女(角替和枝)が登場、風邪をひいてアスピリンを探しているのが可笑しい。
    魔法で治せないのかしら。
    その家を訪れたのがマシュウ・ホプキンス神父(ベンガル)。
    招待状を持ってきたのだが、招いた覚えのない魔女は困惑する。
    二人の噛み合わない会話が始まり、次第に互いのことが明らかになっていく・・・。

    魔女と神父の会話を聞いていると“不条理”とは
    噛み合わない会話、すれ違う思惑、自己中な物言いのことだという気がする。
    自分の価値観とずれている相手はみんな“不条理”なのだ。
    真のコミュ二ケーションが成立しにくい今の時代では
    毎日が“不条理”の連続だと気づく。
    そしてそれこそがリアルな会話であることもわかる。

    「だから、さっきからそう言ってるじゃないか」
    「自分が言ったんだろう?」
    「それはこっちの台詞だよ」
    「はあぁ?」

    1日に1回は口にしそうな言葉、
    そう言いたくなる状況こそが“不条理”の世界なのである。

    会話がひどくリアルなのは役者の力量だ。
    静かなコントみたいに随所に笑いがにじむのは、
    成立しないコミュニケーションをそれでも受け入れる経験値のなせる技だ。
    だから若い役者さんにはこういう“不条理”は難しいのではないかと思う。

    衣装、特に魔女の靴と神父の帽子が可愛くて見とれてしまった。
    またよく似合ってるんだな、これが。

    魔女も神父も孤独な人たちであり、孤独な商売である。
    その二人が「わが町」の濃密な家族意識に向かい合うとき、
    その孤独が共鳴して思いがけない親近感を呼ぶ。
    相反する立場であるはずの魔女と神父が一緒に列車に乗って(多分無賃乗車で)
    どこかへ旅立とうというラストは、それこそが“不条理“な話だろう。
    にもかかわらずこの説得力はなんだろう。
    孤独な二人が一緒に旅をする・・・そのことに
    妙に安心してアトリエをあとにしたのであった。

    3

    2012/08/01 02:55

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  • うさぎライター様

    柄本も公演中はしょっちゅう出没しますので、是非またお越しくださいませ!!

    2012/08/02 09:24

    monoさま

    ほんとに素敵なアトリエですね。
    もっと早く行けばよかった。
    次回も楽しみにしています。
    生柄本明さんに遭遇することも期待して(*^_^*)

    2012/08/01 23:03

    観てきた!にコメントありがとうございます。アトリエ公演、お気に召して頂ければ幸いです。
    今後もアトリエに乞うご期待!!

    2012/08/01 11:20

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