みんな豚になる-あるいは「蠅の王」- 公演情報 ワンツーワークス「みんな豚になる-あるいは「蠅の王」-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    重くて痛いけれど
    がつんと衝撃を受けました。大体の予想はついていたはずなのですが、息苦しくて正視にたえませんでした。
    原作にあるような物質的な暴力性とは異なり、現代社会を舞台とした本作で展開されるのは、もっぱら精神的な暴力です。一見、正しいように思える主張を論理的にぶつけられれば、当てられたほうは恐縮するしかない。論理力という力関係において弱者となる人間は、次第に弾圧されてゆく。恐ろしいと思うと同時に、ではなにが間違っていたのか、なにが正しいのか、ひどく考えさせられました。

    ネタバレBOX

    ゴールディング『蝿の王』の舞台を現代の会社組織に置き換えた作品ですが、まったく違う内容のようであり、要所要所で『蝿の王』の内容をしっかり取り込んでいたり、原作を知っているとまた違った楽しみがあります。集団の秩序がだんだんと保てなくなっていくさまを、ただ傍で見ているもどかしさ、焦燥感は、原作に通じるものがあると思います。氷室さんも、末期になるまえにフォローしておけばよかったのにね・・・あんな状態になってからホラ貝持ち出しても遅いんですよね・・・。予想していたとはいえ、後味の悪いラストには打ちのめされました。

    演出面では、効果的に持ち出される豚の面や、他の方も指摘されている「ムーブ」が印象的です。「動き」の効果が素晴らしいと感じました。設定・舞台を変えたという以上に、この「動き」があることで、劇の内容が現代的・スタイリッシュに表現され、原作『蝿の王』との違いが際立っているように思いました。「ムーブ」をスタイリッシュと表現しましたが、同時に一部のムーブは非常に不気味で、壊れた世界観をうまく表していると思います。

    ところで、あまり注目するところではないと思いますが、冒頭にあった氷室さんの小木さんに対する「抑えて~」のアクション、いいですね。観劇中、思うところがいろいろあって胸がつかえたようになっていたのですが、あの「抑えて~」を思い浮かべて気持ちを静めていました(笑) 今後、またなにかもやもやするときには活用させていただこうと思います。ありがとうございます。

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    2012/07/30 17:41

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