満足度★★
自己の殻を破る
精神的弱さを克服しようとする演劇オタク少年の成長物語で、所々に生の舞台ならではの魅力的な表現が盛り込まれていましたが、全体的には盛り上がりに欠けるように感じました。
前半は台詞が主体で物語としてあまり動きがなく、演出も単調で笑いの取り方も表層的に感じました。怪物退治に向かう辺りから物語も演出も惹かれるところが出てきて、前半も同じくらいの魅力が欲しかったです。
弱いままの現状を肯定しようとする、悪魔の声的な幻覚と対話する場面で、畜光塗料を用いてトリッキーな視覚表現をしていたのが印象に残りました。光量が足りていなくて、はっきりとその効果が出ていなかったのが残念でした。
パースのかかった、セピア調の書き割りの美術に童話的な可愛らしさがあり、物語の雰囲気にマッチしていて素敵でした。
ベテラン勢の安定感のある演技も良かったのですが、見せ場が少なく残念でした。ROLLYさんの弾けた怪演&歌が生き生きとしていて楽しめました。