マームと誰かさん・さんにんめ 今日マチ子さん(漫画家)とジプシー 公演情報 マームとジプシー「マームと誰かさん・さんにんめ 今日マチ子さん(漫画家)とジプシー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    男が思い描くファンタジーとしての「生理」
    女学生二人が学校を抜け出し川を下り海まで歩いていく話。

    女同士の喧嘩の最中に生理が始まり、教室に血を垂らしたまま立ち去る女学生役の青柳さん。

    「太ももに経血がつーっと伝い、床を赤く濡らす」という描写はよくマンガなどで散見されるものの、そんな女性、少なくとも僕は人生で一度も観たことがない。観たことがないことにかけては「転校当日にパンを咥えたまま走る女子学生と道路の角でぶつかる」のと同じくらい。イッツ・ア・ファンタジー。

    ネタバレBOX

    藤田さんの母親は生理によって随分と情緒を左右される人だと以前どこかで伺ったけれど、ここで描かれる「生理」は「男が思い描くファンタジーとしての女性の生理」であって、本当の女性のソレとは違うのではないか?という印象を持った。そして今回の物語のエンジンとなるのが正にその「生理」なので、そこにほんのわずかでも嘘や誇張が含まれると、物語自体の訴求力も弱まってしまう。

    とはいうものの、経血を垂らした(ことになっている)青柳さんの演技は瑞々しく、また女性2人のリフレインを用いたダンスはRosasのカム・アウトやクラッピング・ミュージックをも髣髴とさせ、とても楽しめた。

    (マームのお芝居をROSASのような厳しい修練を受けたダンサーが行ったら、どんな風になるのだろう?と想像すると、また違った面白みも膨らんだ)

    今日マチ子さんの描いた絵を白い壁に投影しながら話は進む。こういうの、既にあったようで意外と観たことはない手法で、マームは「リフレイン」「肉体の酷使」に次ぐ、第三の表現方法を手に入れつつあるのではないか、と思えた。

    お芝居に使用される選曲にも毎回センスを感じさせる。今回はBLACK DICEが効果的に使われていた。ただ、場面によってはお芝居と絵と音楽の3つの要素が生み出すリズムがバラバラで、ズレがノイズのように感じてしまうところも。「ノイズ」の場面が意図的に醸し出されたものであれば一方で「完全にコントロールされたハーモニー」の場面もなければおかしいけど、そこまでシビアに3つをコントロールしてはいなかったように感じた。

    ただ、絵とダンスがほどよくシンクロするシーンは見ていて心地よかった。

    お芝居と絵と音楽がより密接にシンクロし、絵がお芝居を、お芝居が音楽を、音楽が絵を互いに影響しあうような3すくみのような構造になれば、さらに深みが出るのでは、という可能性も感じさせた。

    これでマームとだれかさん「ひとりめ」から「さんにんめ」までを全て観覧したことに。短期間にテイストの違う3つのお芝居を(低価格で)堪能させていただいた。その全力疾走な姿勢には素直に敬意を表したい。

    0

    2012/07/24 18:57

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大